ニッケイ新聞 2009年7月24日付け
中央銀行のCopom(通貨委員会)は二十二日、政策金利を五回連続で引き下げ、年利八・七五%と決定したことを二十三日付けエスタード紙が報じた。これで高金利国の世界ランクは、三位から五位に下がった。
引き下げ理由は、インフレの収束と経済の回復にあるという。一月に引き下げを始めてから、これまでに累計で五%下げた。アナリストらは、政策金利が来年まで安定し、これ以上の引き下げは当分ないと見る。
中銀は、インフレが掌握されたことを発表。一月からの段階的引き下げの中でも、六月の一%引き下げは、経済回復に決定的な効果をもたらしたと見る。
これまで政策金利の変化は、六カ月後に経済の流動的効果として出た。しかし、現在は一年後となり効果が出るのに時間がかかる。それは経済が安定したため、金融機関の融資契約を長期化する傾向があるからだ。
一月からこれまでに引き下げた五%の効果は、来年のお楽しみということになる。活況が実感できる経済回復とそれにともなうインフレの再現、政策金利の遅効的効果を考慮して、政策金利は据置きにされるようだ。
二〇一〇年は産業が動き出し、インフレ・リスクも上昇する。そのため政策金利は来年末まで持ちこたえても、年末には上昇の可能性があると金融機関は見ている。
しかし、中銀の政策金利据置きには、財務省の批判がある。ブラジルの財政政策はいま、構造改革決行のチャンスだと見ているからだ。政策金利を八・七五%に据置いた場合、インフレ四・五%を差し引くと実質金利は四・二五%。この差をいかに穴埋めするかだ。
議論の的となっているのは、ポウパンサ(貯蓄投資)に対する六%の配当プラスTR(参考金利)。庶民のポウパンサ意欲を高め、いかに高配当を続けるか。この配当金は政策金利の利率によって決まり、ポウパンサの貯蓄動機に決定的要因となるからだ。