ニッケイ新聞 2009年7月22日付け
サンパウロ州環境浄化技術公社(Cetesb)調査によると、サンパウロ市とその周辺の大気の状態は想像以上に悪いと十九日付フォーリャ紙が報じた。
大気汚染調査には種々の基準があるが、今回の調査は、従来は対象としなかった〇・〇〇二五ミリという超微粒子に焦点を当て、サンパウロ市内三カ所とサンカエタノ市内一カ所で測定を行ったものだ。
それによると、二〇〇二~〇六年の超微粒子測定値は、セルケイラ・セーザル、ピニェイロス、サンカエタノで一立方米当たり二一ミクログラム(ミクログラムは一グラムの一〇〇万分の一)、イビラプエラで一七ミクログラムを記録。
何れも、二〇一〇年からサンパウロ州で採用予定の米国の適正基準一五ミクログラムと、世界保健機構の適正基準一〇ミクログラムを超え、生活に適した状態とはいえない。
六月二十七日付フォーリャ紙は、ピニェイロスやモエマの大気状態悪化など、サンパウロ市の大気汚染拡大を報じているが、従来の調査(浮遊物測定基準〇・〇一ミリ)では浮遊物質量が改善項目に挙がっていない、セルケイラ・セーザルやイビラプエラ、サンカエタノ(〇八年六月十二日付フォーリャ紙)も適正基準を満たしていないという結果は予想外。今回の超微粒子測定結果報告は、従来の大気汚染の考え方を大きく変えることになる。
また、大気中の超微粒子は肺から血中に至り、動脈硬化や血栓症、心筋梗塞などの心臓循環器系疾患を引き起すとの報告は、大気汚染による呼吸器、心臓疾患による死者がサンパウロ市では年七一八七人というサンパウロ総合大学(USP)の調査(五月二十一日付エスタード紙)にも直結する。
一度起きた大気汚染の短期解消は困難だが、サンパウロ市では、環境車検や、交通量削減のための公共交通手段拡大促進の他、エンジンや燃料の改良なども求めていく考えだ。
USP調査ではリオやベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレ、クリチバ、レシフェ各市も微粒子による大気汚染度が高い事や、人が集まる週末のイビラプエラは週日より超微粒子が多い事を考えると、超微粒子による大気汚染は、全国的な見直し、対策を必要とする項目の一つと言える。