ニッケイ新聞 2009年7月22日付け
十七万人が来場、好評のうちに幕を閉じた『日本祭り』。今回初めて主催団体である県連関係者による閉会式に参加した。「みなさんお疲れ様でした。来年も頑張りましょう!」―。与儀明雄県連会長、加藤恵久実行委員長が日本語のあいさつで締めくくった。ブラジル人を主な対象とし、肥大化したイベントだが、その中心にある一世の存在感を改めて実感した▼とはいえ、郷土食ブースでいえば、若い世代の活躍が目立ち、頼もしい限り。一世が一人しか手伝っていない県人会、運営できず業者に権利を渡しているところもあり、それぞれの事情が垣間見えるのも興味深い。屋台の裏に回ると、各県の名産を持ち寄り、日本酒を傾けるお父さんたち。これぞ日本の祭りの姿―と思うのは記者だけだろうか▼郷土食が年々種類豊富になっているような気もする。一時は間違いなく売れる焼きそばを出す会が多く、規制する動きもあった。現在は百花繚乱、うなぎや薩摩揚げなどおよそブラジル人が食べそうもないものが早々と売り切れる。「一年待った」と秋田県の地酒『高清水』を二ダース購入、「去年食べて美味しかった」と和歌山県のお好み焼きを頬ばる常連ブラジル人。その浸透ぶりには目を見張る。それはさておき、文化である郷土料理を会の次世代に伝える絶好の機会となっている。これぞ県人会活動だろう▼さて警備関係者によれば、入り込んだ窃盗団を警察に引き渡したとか。いよいよ〃有名〃になってきた日本祭りも今年で十二回目、干支でいえば一回り。益々の発展、充実を期待するとともに、関係者の尽力に改めて敬意を表したい。 (剛)