ニッケイ新聞 2009年7月21日付け
アマゾン・トメアスー日本移民八十周年記念の「サンパウロ前夜祭」(トメアスー文化農業振興協会主催、文協・県連後援)が十五日夜、サンパウロ市リベルダーデ区の客家会館で挙行された。大部一秋総領事、木多喜八郎文協会長、与儀昭雄県連会長、上原幸啓百周年協会理事長、千坂平通JICA聖支所長らが列席。飯星ワルテル、ウィリアン・ウー両下議も途中かけつけた。来伯中だった国本武春浪曲師やピアニスト宮下和夫氏が艶やかにディナーショーを飾り、九月の八十周年式典を前に盛大に祝った。
約二百五十人が集まり和やかな雰囲気の中、司会を務める頃末アンドレさんと藤瀬圭子さんが登場。ディナーショーがはじまった。
来賓紹介後、海谷英雄トメアスー農協会長は、四十二家族百八十九人で始まったトメアスー移住地の歴史に触れて、「今はサンパウロや海外にも加工品を出荷できるまで力がついたが、それまでの苦労は並大抵のものではなかった」と振り返り、「今日はまことにありがとう。サンパウロの方と手を結び仲良く交流していきたい」と感無量の表情であいさつ。
大部総領事は、「昨年の百周年に引き続き、アマゾン八十周年が盛大に祝われることを願う」と言葉を贈った。
木多文協会長のあいさつ後、斉藤準一空軍総司令官からの祝電が読み上げられた。
宮下氏が登場し、「アマゾン組曲」七曲をピアノソロ。これは氏が約十年前のアマゾン滞在中に、ジャングルの上に昇る朝日、町の風景やリオ・ネグロに沈む夕日を曲にしたもの。
「アマゾンらしい力強い曲。どんな苦境も乗り越えてきたアマゾン移民にぴったり」と海谷会長は頷きながら聞き入っていた。
花柳流なでしこ会の二人が艶やかに舞台を飾り、国本浪曲師が、「着いたところはトメアスーで、八十周年おめでたい」と迫力ある声を節に乗せ、三味線での弾き語りを披露し盛り上げた。
大きなケーキが運び込まれてケーキカット。ドレス姿のミス・トメアスーの久保田タチアーニさん(17)も壇上にあがり華を添えた。宮下氏のピアノ伴奏で「パラベンス」を歌って乾杯し、会場は和やかな雰囲気。
久保田さんは、「こんな素晴らしいショーを開いてくれてありがとう」と片言の日本語でお礼を述べ、温かい拍手が沸き起こった。
終盤には、国本、宮下両氏やコーディネーター兼司会の藤瀬さんに、同農協から感謝状が送られた。
海谷会長は、「遠い田舎の私たちのためにサンパウロの人たちが協力してくれ励まされました。嬉しくて涙が出るくらい」と喜びを噛みしめていた。