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大耳小耳

ニッケイ新聞 2009年7月17日付け

 浪曲師は客席を見てお題を決め、三味線を務める曲師は浪曲師の第一声でそれを知る。十二日の援協チャリティーショーで浪曲の国本武春師匠が「英国密航」を披露したが、「『別天地があるんじゃないか』と、向こう見ずでも大きな夢に突き動かされた幕末の武士は、皆さんにだぶるのでは。私も大好きなネタ」と説明していた。浪曲世代は八十歳以上、廃れるばかりのこの業界に飛び込んだ若き師匠の情熱にも、移民の志が重なったようだ。
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 日本祭り今日開催―。いよいよ本日正午から十九日まで、日本祭りが開催される。イミグランテスの会場までは地下鉄ジャバクアラ駅前、千葉県人会館前から無料バスが運行。各都道府県人会が自慢の腕を振るう郷土食のコーナーでは毎年大変な賑わいを見せるが、金曜日は来場者も少なく狙い目。六十五歳以上と八歳以下は入場無料。週末は家族で楽しめる日本祭へ。
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 九月に文協大講堂で公演を行なう大阪音楽親善大使・成世昌平さん。公演を主催する日本ブラジルアマチュア歌謡連盟は、成世さんの歌「ノスタルジア椎葉」「みかえり富士」をポ語に翻訳、ブラジル人の歌手が吹き込んだレコード発売も企画しているとか。二月に発売された「みかえり富士」は、「異国に夢を求めた人たちの強い意志」をテーマにした曲。移民者の目に、最後に見た富士はどのように映ったのか、旅立つ人の志の大きさを歌っている。