ニッケイ新聞 2009年7月14日付け
G5を招いて開催されたG8サミットは十日、事実上の終焉を宣言し、さらにエジプトも加えたG14として再発足することで合意と十日付けエスタード紙が報じた。議長国イタリアのベルルスコーニ首相は、G8が最早、金融危機などの国際問題を解決するだけの能力を欠くとして、新興国を含めた新しい活力を導入する認識に至ったことを表明した。ルーラ大統領は「世界的な問題を話し合うためにはG14よりもG20の方が相応しい」とサミット終了後、感想を述べた。
ブラジルや中国、インドのような活力溢れる新興国を交えないサミットは、オバマ米大統領も「現実に即したG8とするため、新たな国際機関を別の機会に別の場所で創設するべきだ」と認めているように誤りであったといえそうだ。
G8は一九七五年、米日独仏英伊の六カ国で発足し、その後カナダとロシアを加えG8になった。今回はさらにブラジルと中国、インド、メキシコ、南アフリカ、エジプトを加えたG14へ発展する過渡期にあった。
「世界経済などの重要案件について決定するためには、G14の方が適している」と伊首相が述べた。二〇一〇年のサミットで座長を務めるカナダのステフェン・ハーパー首相は、参加国数は未定だが「来年のサミットはより拡大された話合いの場となるよう努力する」と話した。
一方、ルーラ大統領はサミット終了後の記者会見で「国際問題を論じるにはG20が理想であった」と語った。恐慌から抜け出すには、さらに力あるG20が出席して金融システムを改革する必要があると評した。
ブラジルは、G8を死に体とし、G8のヴィジョンは空理空論と見ているが、ルーラ大統領にとってのG14は、G8の二軍であって御意見番に過ぎないという。
G8はやることが余りにも緩慢で、直面する国際問題を解決できるとは思えない。ただ一つの収穫は、次のG8の打ち合わせをG5と行うことになったことだ。
ルーラ大統領にもう少し発言の機会が与えられるなら、G20の価値を認め中身の濃いサミットにする。大統領にとってG20を引き立てるには時間が少ない。G20首脳会議は九月、米国ピッツバーグで行われる。
ルーラ大統領は、G20が提起したドーハ・ラウンドやIMF(国際通貨基金)改革などの案件に具体的な進展がなかったことにも苦言を呈した。他に国際的な失業問題もある。
オバマ米大統領は、短期に米経済が復活することはないと警告し、米頼みを突き放した。米大統領は、新興国同士が協力して世界経済を牽引してほしいと要請した。