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オバマ米大統領=「米国消費市場に頼るな」=ブラジルは自主独立を=危機以前の水準回復は困難=今回はG13の橋渡しか

ニッケイ新聞 2009年7月11日付け

 【既報関連】ルーラ大統領は九日、G8サミットに並行してオバマ米大統領と個別会談を行い、「米国は短期的に金融危機以前の水準に消費を回復するのが困難であるから、中国や東南アジアのように米国一辺倒ではなく、ブラジルは国内消費の奨励によって景気回復を図るように」と勧告されたことを十日付けエスタード紙が報じた。またG8サミットと新興国の勃興は、G13などのグループ形成という新しい枠組みを生み出したとG8議長国イタリアは見ている。

 特別に設定された伯米首脳会談は、米経済の悲観的変貌を知らせるもの。米政府は数兆ドルの損失を挽回するため八千億ドルの公的資金をつぎ込み、次々手を打ち渾身の努力を払ったことを米大統領は訴えた。
 ルーラ大統領は米大統領に、先進国が口ばかりで実行しないことを抗議した。G20は昨年十二月、国際経済に最低の安定を求めた。その一つがWTO(世界貿易機関)が指揮を採るドーハ・ラウンドだ。続いて金融危機で喘ぐ途上国経済へのIMF(国際通貨基金による)資金投入。
 G20会議は九月、ピッツバーグで行われる。しかし、グローバル経済の再建に向けた基礎作りが疎かなため、失望することが多いことを憂慮しているとルーラ大統領が警告した。
 G8議長国イタリアは、思わしい成果のないことを懸念している。G5がG8に融合するG13は生まれそうにない。G8はG20の率先で、金融危機脱出の処方箋を期待したが、まだなにも見えない。
 G8とG5の間には、話ができない不均衡の壁があって客分扱いから出ていない。伯外務省は、G5を代弁する代表が必要だという。G8も過去二年、G5を客分扱いした姿勢から抜け切れていないようだ。
 G8による直接投資や医薬品の知的所有権、地球温暖化では、G8が高いところから物をいう態度に変わりはない。最終宣言には、G5に分際をわきまえろという考え方が背後に潜んでいる。
 今回のイタリア・サミットでは、昨年の札幌サミットに見られたG8が決議した後にG5を会場に招く白けた雰囲気と壁を、取り払う努力が見られた。G5はこれまでの途上国代表ではなく、毎年メンバーが増え拡大して行く活気あるグループであると、ルーラ大統領は強調している。