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米に試されるブラジル=イランに核利用の模範を

ニッケイ新聞 2009年7月11日付け

 イタリアのG8サミットに出席したオバマ米大統領は九日、ルーラ伯大統領に対しブラジルが連邦令によって核の軍事使用を回避した模範例を、イラン政府に示威するよう提案と十日付けフォーリャ紙が報じた。
 また米大統領は、ブラジル・イラン両国が通商関係を深めていることで、イランの核計画が国際社会へもたらす影響を、ブラジルは緩和できる立場にあると述べた。
 米大統領の同提言は、ブラジル代表団を前に行われた。米大統領の提言は単なる南北米地域の戦略同盟ではなく、国際戦略同盟を意図したことを示唆している。
 伯米関係はオバマ米大統領が先ずブラジルに関心を示し、ルーラ大統領に電話をした。両者はその後、直接会談のほか六回電話会談を行った。それでブラジルを国際戦略のパートナーとして、信任に足ると確信したことを米大統領は告白。
 マルコ・A・ガルシア大統領顧問が、ルーラ大統領と欧米首脳の間でイラン選挙に触れなかったことから重要議題ではなくなったと見ている。選挙よりもイランが核兵器に意欲を燃やしていることがG8サミットの懸念といえそうだ。
 欧米の関心はアハマディネジャド大統領ではなく、最高指導者ハメネイ師にあることでG8の見解は一致している。両者の軍事目的の核政策が焦点であると、ルーラ大統領は見ている。
 ホンジュラス問題では、OAS(米州機構)の役目が再認識された。ルーラ大統領は、「米大統領の臨時政権非承認発言が決め手になったことで、南北米にクーデターは認められないことが認識された」と米政府の英断を賞賛した。
 ブラジルの戦略同盟は、米国だけではない。ブラジルが音頭を採る、G5(ブラジルとインド、中国、南アフリカ、メキシコ)がある。G5は、G8の開催前日に集合し、二日目の拡大会合に参加した。定期首脳会議は、予定だけ。
 それでも九月に開催するG20の前に、第一回G5首脳会議を行う予定。サルコジ仏大統領がルーラ大統領に、フランスがG8の議長国になる二〇一一年、G5をG8並みに格上げする議題を入れる約束をしたとの話が漏れている。当分は今のままの客分扱いで我慢せざるを得ないようだ。