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G8サミット=伯仏同盟、世界をリードか=イラン以外で一致=新秩序の骨格を構想=政治が変わり全て変わる

ニッケイ新聞 2009年7月9日付け

 G8サミット出席に先立ちフランスを訪れたルーラ大統領は七日、サルコジ仏大統領と国際機構の変革に向けた伯仏同盟を結ぶことで見解の調整を行ったことを同日付けアジェンシア・エスタードが報じた。両者はイランの総選挙と政治問題を除いて、概ね合意に達したことを表明した。G8サミット下準備のため両首脳は、国連安保理改革や構造改革、多極外交、環境問題、金融システム改革、IMF(国際通貨基金)やIBRD(世銀)の改革を訴えた。

 伯仏両国は国際金融システムの再構築と管理機関の設置で同盟関係を結ぶことで一致した。この同盟関係はさらに国連の安全保障常任理事会へも枠を広げ、我々の存命中に地球温暖化解決の目処をつけるよう取り組む意向を示した。
 多極化しつつある国際社会に多極外交を展開しながら両国は、常に役目を分かち合うことを両首脳は誓いあった。これはG5も招いたG8に備えた下地作りといえる。
 G8サミットに国連も正式代表として出席するなら、多くの問題が即時に解決するであろうと、ルーラ大統領がいう。またサルコジ大統領は、G8サミット後は、世界の政治システムが変わるから、全てが変わるだろうと宣言した。
 ブラジルやインドなどの新興国に日本やドイツも加えた経済大国グループが、国連機構を支える新しい大黒柱として常任安保理事国入りを果たすことを求める。それにより、安定し連帯した新世界秩序を築くことを両首脳は提案し、世界各国へ支持を乞う。
 国連は第二次世界大戦後の創設以来、五カ国で常任安保理事国を保ってきた。時代の変化とともに新しい服を新調する必要が生じたと、ルーラ大統領が言明。
 IMFやIBRDなどの金融機関については、途上国経済のためにさらに重要な役目を課する機構改革を行うことをルーラ大統領が提言した。
 国際政治の変革は金融危機によって生じるものではなく、「金融危機を機会に誰もが渇望したシステムへ改革を行うものだ」と両首脳は訴えた。
 世界経済におけるILO(国際労働機関)の役目は、脆弱な金融システムが引起こした所得格差拡大と社会疎外の増大の是正努力にあると強調。
 また貿易自由化のために設けられたドーハ・ラウンドは、八年間の交渉努力に関らず座礁し、十二カ月も頓挫している。伯仏両首脳は、WTO(世界貿易機関)に貿易自由化実現のために渾身の努力を求めた。
 地球温暖化では、平均気温の上昇に二度を限度とするコペンハーゲン協定への協力を求めた。環境問題は人類が優先すべき共通の課題であることを肝に銘じるべきだという。