ニッケイ新聞 2009年7月7日付け
イタリアで八日開催のG8サミットに招待されたルーラ大統領は六日、同サミットに賭ける抱負を披瀝と同日付けグローボ・オンラインが報じた。七日には先ずフランスに立ち寄り、サルコジ仏大統領とエネルギーや環境問題、食糧確保、国際政治について意見調整を行う。またルーラ大統領は、G8でIMF(国際通貨基金)や世銀の改革を訴える意向だ。同行のアモリン外相は、国際問題をリードするためG8に代わる、伯仏主導の多極外交の展開を提起した。
今回のG8サミット首脳会議は、九月に米国で開かれるG20への橋渡し的意味をもつ。その意味で二日目には、新しく頭角を表したG5(ブラジルや中国、インド、南アフリカ、メキシコ)も同席の拡大会合も開く。
アモリン外相は、現在の世界がG8と非G8に二分したことで遺憾の意を表した。国際間の大切な問題を協議するにも、余裕のある国を探さねば成らない有様だ。
中米の勃発事件や海水の異常増水、アフリカの旱魃、急激な地球温暖化などを、どこへ相談に行ったらよいか分からないのが、現在の実情だと外相は訴えた。そのため伯仏両国は緊密に提携して従来のサミットを改革し、新たな国際サミットを設定する計画だと構想を述べた。
ルーラ大統領の出席には、二〇一六年のオリンピックをリオデジャネイロへ招致する任務も課せられている。G8サミット出席の他に、ユネスコで平和貢献に尽くした記念品の授与式にも招かれている。
サルコジ仏大統領との会見前夜には、ポルトガル首相との個別会議がある。さらにポルトガルのソアレス前大統領から、民主政治の奨励と人権運動、平和運動、貧困撲滅に尽くした功績を称える式典に呼ばれている。
大統領は過密スケジュールで忙しい六日、金融危機で喘ぐ貧困諸国への経済支援を仰いだ。金融危機の影響で窮地にある途上国にために、先進諸国は何もできないことが明白だという。
何もできない頼りないG8に期待するより、IMFや世銀(IBRD)を国際問題の決定機関に改革し、その役を求めるべきだと大統領は述べた。先進国が協議するのは経済問題ばかりだが、それならG20が相応しいという。