ニッケイ新聞 2009年7月3日付け
画家の間部学、若林和男両氏の版画作品展「Mabe e Wakabayashi」が八月十五日まで、サンパウロ市のジョー・マベ画廊(間部譲代表、Av.Brigadeiro Luis Antonio,4225)で開催されている。六月二十三日夜、初日の会場には若林夫妻、間部氏の家族をはじめ関係者が多数来場して賑わった。
同展は、現在リベルダーデの旧カンポス・サーレス校舎で進められている「マナブ・マベ日伯近代美術館」整備事業を支援するため開催されているもの。両氏の版画作品による展示会は初めてだという。
作品約五十点が展示・販売され、利益は同事業に充てられる。間部氏の長男、譲氏(57)は関係者の応援を喜ぶとともに、「皆さんに作品を見てもらえる、それだけでもいいと思う」と話す。来年には間部氏の遺作展開催も検討されているそうだ。美術館については、金融危機により資金集めが難しい状況ながらも、「来年八月ごろに完成できれば」と見通しを語った。
ビエンナーレ展をはじめ一九五〇年代から画家として活躍してきた間部氏。絵画の値段上昇や購入希望者が増えたことから、七九年ごろから版画の制作を始めた。
今回出展されているのは、間部家で保管されていた、その当時から九七年に亡くなるまでの作品。夫人のよし乃さんは「家族や、親友の若林さんたちの応援があって展示ができた」と感謝の気持ちを語り、「少しでも協力できたら」と話す。
両家の交流は、若林さんが六一年、ビエンナーレに参加した画家の故津高和一氏の紹介を受けて渡伯して以来続いている。若林さんは「美術家として私と家族がこれまで生きてこられたのは、ひとえに間部さんのおかげ」と述べ、「間部さんの名を冠した美術館を一日も早く完成に導きたい」と思いを語る。
同展は十月にリオで開催される予定。若林さんは「これからも仲間に声をかけて力を合わせ、サンパウロで有数の美術館ができるよう協力したい」と語った。
展示会は平日午前十時から午後六時、土曜日午前十時から午後三時まで。日曜休館。詳細は同画廊(11・3885・7140)まで。