ニッケイ新聞 2009年7月1日付け
サンパウロ市のカサビ市長が六月二十九日、サンパウロ市セントロに貸切りバス乗り入れ規制区域を設け、二十七日以降、五時から二一時までの通行を禁ずると発表したと六月三十日付伯字紙が報じた。
貸切りバスの乗り入れ規制については、六月二十日付エスタード紙などでも報じ、抗議行動も起きていたが、市役所との交渉結果がバス会社に通達される約束の一日以前の規制案発表に、戸惑いと怒りを隠せないのは貸切りバス会社組合だ。
乗り入れ規制対象区域は、セーやヴィラ・マリアナなど、現行のトラック乗り入れ規制地域の約半分を占める区域だ。
買い物客などで賑わうブラスや25・デ・マルソは外されたが、パウリスタやイビラプエラ大通り、9・デ・ジューリョなどを含む同地域での貸切りバス利用者は四万八千人という。
規制地域以外も入れれば一二万人という貸切りバス利用者は、聖東部やABC地区、サントスなど、多方面からの通勤、通学者の二%に相当し、八七%がA、Bクラス、七五%は自家用車の所持者とされている。
このため、交通問題の専門家は、乗り入れ規制で一般交通手段に乗り換える位なら車で通うという人が増え、市中の交通量は増えると懸念。利用者や契約企業の経済的負担も増加する。
〇八年六月三十日から、カサビ政権の交通対策でトラック乗り入れ規制が強化され、渋滞距離が短縮したと市当局は自画自賛していた。ところが、六月二十九日付エスタード紙は、朝のピーク時の走行時速は、規制強化以前の三〇キロが二五キロに一六・六%減速、午後についても一一・七%減速したと報じた。
乗り入れ規制区域内では、かつてのトラック一台につき六・三メートル以下の小型運搬車(VUS)三台が替わりに走っており、十一月からVUS規制が強化されれば、今度はバンが増えるとも予想されている。
トラック乗り入れ規制では、交通量と排気ガスの増加、時間外手当他の人件費増加、積荷強盗増加などの問題が起きている。貸切りバス乗り入れ規制でも、その効果のほどが疑問視されている。当局の思惑通りの実施が叶い、効果が出るか、まだまだ検討の余地がありそうだ。