ニッケイ新聞 2009年6月30日付け
どういうわけか麻生首相の人気がさっぱり沸かない。世論調査でも支持は19%ほどであり、これはもう赤信号である。政界では内閣支持率が20%を切れば危ないが常識であり、これで判断すれば、麻生政権の命もあまり長くはない。首相は総選挙の先送りに懸命なようだけれども、どんなに粘っても9月の解散は避けられない▼選択肢としては、7月に解散し8月選挙もありうるし、民主党などの野党はすで準備態勢に入っている。それにーである。有権者の意識も自民党から民主党へと移っている。新聞社の調べでも、民主党支持が38%、自民は20%にすぎない。次期衆院選の比例代表でも民主党が48%であり、自民19%を大きく引き離しているところにもっと目を向けたい▼こうした自民離れは、最近の大型市長選挙の結果からもわかる。さいたま市長選に続く千葉市でも熊谷俊人氏が31歳の若さで当選している。さる4月には名古屋でも勝っているし、民主党は3連勝なのである。これら一連の事実を単なる地方選挙と斬り捨てるようでは、自民党も崩壊への道を歩むだけとしか言いようがない▼どうもー今の自民党には、かってのような血湧き肉躍るような熱気が失せてしまった。あの造船疑獄のときに佐藤栄作幹事長を守るために吉田茂首相は、犬養健法務大臣に指揮権を発動させる「暴挙?」もやってのけたし、事の良し悪しは置くとしても、宰相・吉田茂の政治的勇断は凄いに尽きる。麻生首相には、この祖父の気概が欠けるのが寂しい。これでは総選挙も勝てまいにー。(遯)