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お世話になったセンセイたちへ=州議会で感謝の表彰式=子弟教育への貢献称え

ニッケイ新聞 2009年6月27日付け

 ブラジル日本移民の歴史に教育面から貢献した教師たちへの表彰式が、五日午後七時からサンパウロ州議会で行なわれた。文化教育連帯協会(ISEC=吉岡黎明会長)、SBPN(ブラジル日系研究者協会=仁井山進会長)が主催したもの。約百五十人が集まり、〃センセイ〃たちへ感謝と祝福の言葉を送った。

 ISECとSBPNでは日本移民百周年を記念し、元生徒たちが教師への感謝の気持ちを綴った文章を一冊の本にまとめ、「先生とセンセイたち(Professores e Senseis)」というタイトルで一冊の本として同日刊行した。
 同書は、作家や技術者、大学教授や軍関係者等、各界で活躍する日系人など六十人が執筆にあたり、自身の恩師への思い、尊敬の念を綴ったもの。日系の教師もいれば、非日系の教師の思い出もある。
 「先生と一緒にポ語を学習したこと」「指導により大学進学を実現できたこと」など、日系子弟の教育に情熱を注ぎ、各生徒の将来に大きな影響を与えた教師たちの姿が描かれている。
 松本セイコ・アリッセ、伊藤サユリ・ルーシー、青木マリエ、宇佐美カツミの四氏がコーディネーターを務め、弁護士の二宮正人氏も一文を寄せている。出版にあたり宮坂国人財団が協賛した。
 表彰式には吉岡会長、仁井山会長はじめ、ジョアン・カマレス連邦下議、千坂平通JICA聖支所長、松尾治・宮坂国人財団副理事長、上原幸啓サンパウロ大学名誉教授らが出席し、幼少期の教師との思い出などを語った。
 同書には約六十人の教師たちが登場しているが、遠方在住で出席が難しい人もあり、この日は代理の家族も含め出席した十三人の元教師たちが表彰を受けた。
 当日表彰を受けた教師は以下の通り。=赤間アントニオ晃平(ピオネイロ校)、カルメン・ディルマ・アバデ・デ・カルバーリョ、クララ・ヤマガ(アングロ・ラチーノ校)、ダリラ・セランテ、ハブンバ・ファラ・リセッテ、山口ヒサコ、二木秀人(アルモニア学園)、ジュリア・タヴェシ・L・ダス・ネーヴェス、川村真倫子(松柏学園)、青木シント(サンフランシスコ・シャビエル校)、落合四三(椎の実学園)、佐藤スナオ、青木マリエ。(敬称略)
 仁井山会長は「移民百周年の記念として意義のある式典を行えた。全ての教師を表彰できないことだけが残念」と述べた。
 沖縄で生まれ、九歳の時に渡伯した上原氏は、「教師たちのおかげで今日の我々の社会がある」とその貢献を称賛。千坂支所長は、「日系教育の高い評価を聞けて嬉しい。文化の違いを乗り越え教育に尽力してきた教師の方々に感謝を述べたい」と話した。
 この日は三人の教師に焦点を当て、その当時の学校の様子がスライドで映し出された。教師たちが教育に注いだ熱意が会場全体を包んだ。
 椎の実学園によるコーラスや、弦楽四重奏なども披露され、表彰式は終了した。