ニッケイ新聞 2009年6月24日付け
最高裁のジウマル・メンデス長官は二十二日、軍政時代の一九七二年から一九七五年、パラー州アラグアイアで起きたゲリラ蜂起に関し、事実解明の必要があるとして関係書類の開示を求めたと二十三日付けフォーリャ紙が報じた。
もし同件に関する書類が存在するなら、公開を禁じる理由はないと同長官は述べた。軍上層部の命令でゲリラ掃討作戦に参加したクリオー少佐ことセバスチオン・C・ロドリゲス容疑者が所有する記録が報道されたことで、新しい事実が日の目を見ることになる。
二十一日付けエスタード紙が報じた同少佐の書類によると、ブラジル共産党に属するゲリラ四十一人が拘束後、無防備の捕縛状態で処刑されたという。
これまでに公開された軍政のゲリラ掃討に関する公式書類は、全書類の一五%に過ぎないとされる。政府は新たな法令を制定し、軍部が隠蔽した当時の関係書類堀り出しを行う考えでいる。
教師のヴァレリア・C・コスタさんは、姉でゲリアの一員であったヴァウキリア・コスタ氏が、一九七四年から今日まで消息を絶っている。米州機構(OAS)人権裁判所の被告人となったクリオー少佐の供述によれば、同掃討作戦で処刑されたものと思われるが、同件の書類開示も釈明も一切ないという。
軍政時代の事実解明にOAS人権裁判所の圧力が、かかっていることを国は感じている。クリオー少佐の報道は、その反応の一つといえる。
ヴァレリアさんは、遺族が事実解明運動に疲れているので、同少佐の証言について信憑性を信用できないという。事実をウヤムヤにするための詭弁だというのだ。
夫アンドレー・グリボイス氏が行方不明になったクリメイア・アウメイダさんは、当時の関係書類が隠蔽され現在まで全く公開されなかったのは、アラグアイア事件を風化させようとする当局の怠慢であると訴えた。
政治犯遺族会の委員であるクリメイアさんは、事実解明運動に法務省や人権省はソッポを向いていると非難した。最も力になると期待するジョビン国防相は、運動に参加してくれないと不満。国防相は裁判所の指令で七月、遺体探しと発掘のため陸軍部隊派遣を決めたが、延期また延期となっている。