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学校は偏見の巣窟か?=ブラジルにも存在するいじめ=成績にも影響との報告も

ニッケイ新聞 2009年6月19日付け

 多民族国家でいじめもないといわれていたブラジルだが、学校の中は偏見の塊でいじめも存在と十八日付伯字紙が報じた。
 教育省の要請で経済調査院(Fipe)が五〇一校、一万八五九九人を対象に行った調査によると、障害者への偏見あり九六・五%、人種的偏見あり九四・二%など、何らかの偏見を持つ回答者は九九・三%に上る。障害者では精神的障害を持つ人への偏見が強く、黒人や貧困者、同性愛者なども偏見の主な対象だ。
 また、偏見の有無や対象は家庭や社会のあり方を反映し、地域社会に偏見があると、教師や生徒も偏見を持ち易い。
 また、回答者の少なくとも一〇%が、生徒や教師、職員へのいじめや差別を経験または見知っていると回答している。
 生徒へのいじめや差別の理由は、黒人だから一九%、貧乏だから一八・二%、同性愛者だから一七・四%、女性だから一〇・九%。また、教師へのいじめや差別は、高齢だから八・九%、同性愛者だから八・一%、女性だから八%、黒人だから七・二%となっている。
 エスタード紙記載の一五歳で七年生のL君は、幼時の知的発達の遅れで通常の年齢を過ぎて入学。七年生では、殴る、蹴る、服で首を絞める、化粧するなど、集団でのいじめを受けてきた。
 友人からの知らせでいじめを確認出来たという父親は、それ以前にも校長と相談しようとしたが応じてもらえず、地区の教育委員会に直訴した。
 以来、研修生がL君に付き添う事になったが、調査では、偏見の度合いは女性より男性の方が強く、宗教を持つ人も差別傾向が強くなるが、種々の情報に触れる機会の多い人は偏見の度合いが弱いという。
 フォーリャ紙は、生涯偏見に苦しむ例として、黒人で貧乏な家庭に生まれた同性愛者を上げたりしているが、家庭や社会で生まれた偏見が個人に植え付けられるため、偏見のない社会を築いていくには、何世代もかかるだろうとの調査担当者の声も載せている。
 回答者の七〇%は一三歳から二〇歳以下だが、教師や生徒の偏見や他者への嫌悪感、差別傾向が強い学校は、学業成績も振るわないとの相関関係も報告されている。

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