ニッケイ新聞 2009年6月19日付け
シャムの轍を踏むなかれ―とコロニアの将来を危惧する言葉を移民一世からときおり聞く。十五世紀にシャム国(タイ)に渡った山田長政の故事を引いているのだが―。
最近タイを旅行した知人から貰ったタイ日本人会の「入会のしおり」を見て、唸った。
駐在員家族を中心に約八千人の会員を持つ海外最大級の日本人会。立派な会館があり、充実した文化・スポーツ活動、家政婦の紹介も。
泰緬鉄道敷設での犠牲者や、一九世紀に農業移住し、マラリアで亡くなった十八人を祀る慰霊碑で追悼法要も営まれ、先人の苦労も称える。
知人によれば、結婚相談にも乗ってくれるというから広範な活動ぶり。 同会は一九一三年に設立。日本人会という意味では、ブラジルより歴史は深い。ちなみに会員数は文協の四倍。歴史同様、簡単な比較はできないが、興味深い。(剛)