「BRICsは未熟児」=未来の大物、世界を制す=ミング経済評論家
ニッケイ新聞 2009年6月18日付け
第一回BRICs首脳会議は十六日、四カ国の戦略的協調によってG20とともに国際的地位を高め、金融システムの改革に深く参画することで合意と十七日付けフォーリャ紙が報じた。
宣言ではG20の重要性を盛込んだが、ドル通貨に代わる基軸通貨は必要性を訴えるに留まった。通貨制度改革は、時間をかけて周到に行うことになった。
経済評論家のミング氏は、十七日付けエスタード紙で「BRICsを早産の未熟児である」とし、以下のように評価していることを明らかにした。
会議は、簡単かつ無味乾燥であった。世界はいま、大変革の時代にある。これまで覇権を築いてきたG7がG8になり、さらにG20が生まれた。
BRICsは、ブラジルとロシアが原料供給国で中国とインドが原料消費国だから、連帯性を強めるなら財政的内容がより充実する可能性はあると同評論家は見る。
さらに中国と米国は、関係が複雑な共存共栄関係にある。この観点から中国は、ロシアよりもG8と親密な関係にあり、BRICsよりもG8を慕っている。
BRICs首脳会議は、即効的効果はない。しかし、戦略的効果は計りしれない。ナポレオンは予言した。「中国が目を覚ますなら、世界に地震が起きる」と。その中国と未来の大物三人が、一堂に会したのだ。
首脳会議の宣言文は金融改革に触れただけだが、ドルに代わる新基軸通貨は地球規模に据えられた時限爆弾のようなもの。新基軸通貨の設置は、伯亜間の地域通貨のようなものでないことは、誰もが承知しているはず。
世界的に流通する通貨には威力があり、一朝一夕に変更できない。
BRICsが有する外貨準備高は、二兆七千八百七十億ドルで、これが全部ドル通貨なのだ。ドルが基軸通貨の王座から落とされたら、約二兆八千億ドルが紙屑になる。