ニッケイ新聞 2009年6月17日付け
BRICs四カ国は、国際的地位強化のため七月開催予定のG7サミットの向うを張り、第一回首脳会議を十六日にロシアのエカテリンブルグで開催と十六日付けエスタード紙が報じた。同首脳会議は今後、金融システム改革などの経済分野や国際政治の分野をも指揮すると声明を発表する予定だ。ブラジルと中国の間で先に合意した、貿易決済でのドル通貨に代わる新基軸通貨の設定も同会議で話合われる。BRICsは最近、IMF(国際通貨基金)へ七百億ドルを融通し、名実ともに債権国入りを果たした。
BRICsの四首脳、ルーラ大統領と胡錦濤主席、メドヴェージェフ露大統領、シン印首相が一堂に会し、新たな政治パワーの設定を内外に宣言する。BRICsの名称は、経済成長著しいブラジル、ロシア、中国、インドが世界経済の新リーダーとなることを見越したゴールドマン・サックス銀行が使い始めた。
主要テーマは二つで、国際政治経済の舵取りと新基軸通貨の設定。
国際政治経済についてBRICs四首脳は、国際危機克服の他、国際通貨基金(IMF)改革などを話し合う。この会議は、七月八―十一日にイタリアのアーキラで行われるG7を前に、世界の趨勢に影響を及ぼすほど重要な会議となる可能性がある。
他に議題へ挙がる可能性があるのが、新基軸通貨または新興国通貨による地域決済制度の設定。
ブラジルとアルゼンチンの域内貿易は、地域通貨による決済を打ち合わせたが、関税障壁で座礁。ドルに代わる地域通貨による決済が行われる前に、各種の障壁問題を解決する必要がある。
四カ国のGDP(国内総生産)は、世界経済の一五%、国際貿易の一五%、人口は世界の四〇%、国土の面積は二五%を占める。しかし、政治面では、遥かに大きな比重を占める。アモリン外相の言葉を借りるなら、G7(ロシアを含めG8)は「死に体」であるという。
クレムリンのロシア政府が十五日、金融システムなどのような件についてはG8の言い分も考慮すべきだとする声明を発表したので、同首脳会議でも配慮はする。
ブラジルや中国、インドは景気回復の緒についたため、IMFや世銀などの国際機関を通じて発言の機会が多くなる。七百億ドルの財政支援が援護射撃となって、新興国に政治的発言の機会が与えられるようになる。
恐慌後の国際経済は、BRICsの活躍如何にかかっているとインドのシン首相が確言した。