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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年6月17日付け

 どうも気になることがある。日本の報道によれば「開かれた行政をもとめるいわての会」が、昨年六月に岩手県議五人がブラジルなど三カ国を回った海外視察に旅費支出は不当だとして、知事に対し、その経費約四百四十二万円を県に返還するように住民監査請求を行った。イグアスの滝などを訪れたことが問題らしく、『「単なる観光旅行にすぎない」と主張している』というコメントまで出た▼これでは岩手県人会創立五十周年式典参加や、県人会員との交流まで意味がないと言っているかのようだ。視察行全体のほんの一部しか見ていない近視眼的指摘ではないか。というか、南米まで行っていること自体が無駄使いではないかという認識が、この批判のベースにあるのを感じる▼日本共産党滋賀県委員会のサイトにも、『自民:一人百二十二万円を使っての南米「視察」(中略)ほとんどの議員が豪華海外旅行』などといかにも〃豪遊〃であるかのように書いてあるが、エグゼクティブクラスの日伯往復航空チケットだけで約百万円以上かかる。しかも日本と違いそれなりのホテルに泊まらないと治安上問題がある。日本の〃常識〃で何でも判断できると思ったら大間違いだ▼問題とすべきは、南米まで来たことではなく、行ったのに値する何かをしてきたかだろう。このような記念式典への要人参加は、南米の県人会にとっては貴重な交流の機会だ。それ軽視する風潮が批判の基底にあるように思えてならない▼それに、外国の良さを知るのに代表的な観光地を訪れるに越したことはない。訪日した外国の政治家が京都に行くのに、誰が文句をいうのか。(深)