ニッケイ新聞 2009年6月16日付け
十四日にサンパウロ市パウリスタ大通りからセントロのルーズベルト広場にかけて行われた第十三回ゲイ・パレ―ド(パラーダ・ゲイ)は、様々な治安問題はあったものの、一つの節目を迎えた事を示したようだ。
一五日付エスタード紙は、三五〇万人が集ったパレードではケンカや飲酒、押し倒されたり失神したりの混乱、窃盗多発が目立ったと報じたが、フォーリャ紙は、政治的色合いがより強いパレードだったとも報道。
各紙の着眼点の差だが、四〇万の観光客も加わった行事には、セーラサンパウロ州知事やカサビサンパウロ市長、マルタ元サンパウロ市長も参加。同性愛者や両性愛者、性転換者他、差別反対を唱える人々も参加したイベントは、パウリスタ大通りが手狭と感じられる程だった様だ。
今パレードにはナイトクラブやキャバレー不参加の一方、サンパウロ州での禁煙法支持の看板が掲げられ、全国労働者センター、中央労組なども楽隊付きの車(トリオ)を仕立てて参加。テレマーケティングや看護婦、教師の組合も加わったのは、同性愛者を巡る問題が一般にも浸透し、人種や社会格差と同様の差別問題として見られる様になったことを反映したようだ。
同イベントでは、同性愛者らへの差別を禁ずる法令擁護の署名も募られたが、十四日付エスタード紙は、ラ米諸国の世代間の考えが均質化し、同性愛者が子供または自分の教師となってもよいとする人は大人七四%、一八~二九歳の青年八〇%などと、差が縮小との調査結果も報じている。
また、同紙には、今回のパレードには六~七〇歳代の同性愛者や同性愛支持者の参加も増加する筈との記事も掲載。従来は社会的な目を気にして外には出られなかった人も、自分の気持ちに正直に生きようとし始めている事を窺わせる内容だ。
二二時頃、遅くまで騒ぐ参加者に立腹した住民が自家製爆弾を投げ二〇数人が負傷した他、一〇分間に三件のケンカなど、大量の酒が振舞われた事による混乱も発生。一七歳の青年が集団暴行を受け大怪我とか、救急車が大通りに進入して逃げ惑う人々が混乱、窃盗事件多発などの治安問題は、定着化した大型イベントでの今後の課題となりそうだ。