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アモリン外相=「G8は死んだ。葬式はダラダラ」=次代の世界秩序形成へ=複数グループで均衡が理想=やがてG20台頭か

ニッケイ新聞 2009年6月13日付け

 パリーで開催された第十回政治問題研究会議に出席したセルソ・アモリン外相は十一日、開口一番「G8は死んだ。世界の政治問題を解決する機関として機能しないし、混乱した金融システムを改革する緊急対処ができない。もはやG8の幾つかの国より、Brics諸国の方が経済的比重を増した」と述べたことを十二日付けBBCサイトが報じた。「G8の〃葬式〃がどう行われるか分からない。多分、葬式はダラダラ行われるだろう」と述べた。

 G8に代わるサミットとして、主だった新興国をも加えたG20を理想的モデルとして同外相が推奨した。現在は、いかなる国際問題でもBricsの占める比重が大きくなったと同外相が主張した。
 早急に解決すべきことは、IMF(国際通貨基金)のような国際機関の機構改革だ。ブラジルはG20のリーダーとして経済と金融及び関連事項の改善で討論する用意があると訴えた。
 関連事項とは、米国の指導者として初めて提唱した、オバマ米大統領の核兵器の全面的廃絶が、その一例だという。アモリン外相は、安全保障問題は国際政治で最も困難で複雑な懸案であることを認識していると述べた。安全保障問題は、金融と同時に解決すべき次の大きな課題だ。
 世界情勢はグローバル管理を求めて変りつつある。世界貿易機関(WTO)では、それが始まっている。G20による緊急機関が発足し、ブラジルやインドが陣頭指揮をとりWTOで外交的根回しが始まった。
 WTOのパスカル・レミー専務理事は「理想的な国際機関は、提議される議題の解決に多様性が許されるところだ」と述べた。同時に政治にも多様性が求められる時代へ突入したのだと説明した。政治の多様性は、外相も同意見だという。
 総ての国際問題には、Bricsが関係する。ブラジルや中国など五カ国が、G8に招かれたが、発言は許されなかった。それが去る四月、ロンドンのG20会議で月並みではなく実質的に議論を交わした。これが政治の多様性だ。
 G20は現在、足並みは揃わず多数のグループが存在する。「重要なのは複数の、均衡の取れたグループ群が世界秩序の調和を形成することだ」と外相は考えている。
 現在の均衡関係は、G8プラス中国とブラジル、インド、メキシコ、南アフリカの五カ国。間もなくG8プラス十二カ国になり、堅固なG20が生まれる。「一グループが超越するのではなく、いくつかのグループが緊密に関係しあって全体の調和を形成するのが理想である」と同外相は述べた。