一部遺体の検死結果出る=事故機は空中分解の可能性=海上捜索19日で打ち切りか
ニッケイ新聞 2009年6月13日付け
【既報関連】五月三十一日のエールフランス機事故の遺体は十一日までに四四体回収されたが、検死済みの遺体の特徴などから、事故機は空中分解を起こしたとの見方が強まっている。
十一、十二日付伯字紙やG1サイトなどによれば、遺体や残骸の状況、回収区域の広さ、形状などは、事故機は完全体のまま落ちたのではなく、空中分解した事を示しているという。
裏付けの一つは、一六体の遺体が、着衣がほとんどまたは全くない状態で回収された事。これは激しい空気抵抗に煽られて衣服が剥ぎ取られたためで、肺の中に水が溜まっていないのも、海面落下以前に死亡していた証拠と見られている。
遺体がほぼ完全体で回収され、皮膚が焼け爛れたりした痕もない事は、空中爆発の可能性を遠ざける一方、骨折の多さは、無保護の状態で水面に叩きつけられた事を示しているという。
これらの考察は、フェルナンド・デ・ノローニャでの検死で明らかになったもの。同島では、頭髪などのDNA鑑定試料や指紋収集、アザや刺青などの身体的特徴や装飾品などの確認、写真撮影、遺体毎の情報ファイル作成の後、遺体を冷凍してレシフェに送る。
一方、十日にレシフェに着いた冷凍遺体一六体は、解凍後の十一日から身元確認作業開始。身元が判明し、座席の位置が確定出来れば、事故当時の状況再現にも役立つという。なお、DNA鑑定が必要な場合は、ブラジリアでDNA情報の解析、照合が行われる。
また、八、九日に回収され十一日に同島に着いた二五体の遺体や、十一日に回収され、十三日に到着予定の三体も、同様の検死プロセスを経る。
一方、ブラジル空海軍による海上捜索は一九日で打ち切りの可能性が出てきた。これは、時間と共に漂流する遺体が減るためで、十七日まで遺体回収が続けば延長もあり得る。仏海軍主軸の海中、海底探索は継続される。
海流の方向変化で、十二日にもブラジル領海内で新しい残骸が発見された様子。残骸三七個は十二日にレシフェに着いたが、尾翼部分を写真で見た専門家は、事故機は激しい錐もみ状態で落下した筈だもと述べている。