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IBGE発表=第1四半期GDPが―0.8%=3月までは「不況」=第2四半期から回復基調へ=「家庭消費が景気底支え」

ニッケイ新聞 2009年6月10日付け

 ブラジル地理統計院(IBGE)は九日、〇九年第1四半期のGDP(国内総生産)が前期比〇・八%減と前期の三・八%減に続き、二期連続で落ち込んだことで「数字上の不況」突入と見なしたことを発表と同日付けBBCブラジル・サイトが報じた。ただし、第1四半期まではマイナス成長だが、最新の第2四半期の数字には回復基調への兆しを思わせるデータが出てきていると主張するアナリストもいる。

 BBCブラジルは、不況突入と回復基調を次のように説明した。GDPを生産者の目で見ると、工業生産が三〇%、サービスが六五%、農業生産が五%に相当する。
 GDPを需要で計る見方もある。その場合は家庭消費が六〇%、政府経費が二〇%、公共投資と民間投資が一八%、貿易を二%とする。しかし、双方の合計は合致しなければならない。
 GDPは経済指標であり、二期連続で落ち込むと景況は不況とみなされる。これは、〇八年九月から起きた金融危機による、世界同時不況を反映している。
 特に悪かったのは、輸出関係の商工業。業種別では、資本財分野。昨年の第3四半期から設備投資の後退が現れ、第4四半期には顕著であった。
 反面、金融危機の影響が少なかったのは、家庭消費分野。この分野はGDPに六〇%の重みがあり、消費財やサービス、教育、医療がこれに該当する。
 危機にも関らず、IBGEの統計によれば、〇九年第1四半期の家庭消費は前期比〇・七%増の動きを見せ、政府消費も微増した。経済学者のブラウリオ・ボルゲス氏は「特に家庭消費が景気を支えた」と分析する。
 政府の金利引き下げ努力とローン対策が功を奏し、家庭消費が経済を牽引し、回復基調を見せた。投資はまだ本調子ではないが、一年間で徐々に盛り返すと見ている。
 ただし、別の専門家は「経済への信頼は戻っているが、国内需要回復だけで危機前の成長水準に戻るのは無理」と指摘する。
 工業の回復は、時間がかかる。しかし、振幅は減っている。これは工業が従業員解雇を控えて増産に力をいれ、先々での投資に備えていることを意味しているという。
 「回復の兆候は第2四半期の数字か、遅くても年末までに現れるだろう」とアナリストらは見ている。
 この回復基調予測の延長線上として、アナリストや中銀の見通しでは、年末までには政策金利が九%に下がるとみている。さらに、八日に発表された中銀のフォーカス調査では、二〇一〇年のGDP成長率は三・五%と予測している。