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世界環境デーに考える=自然保護先進国ブラジル=それでも続く生態系破壊

ニッケイ新聞 2009年6月6日付け

 世界環境デーの五日は世界中で環境保護や地球温暖化などを考える企画が行われたが、世界的な環境保護の動きの中、〇三年以降の自然保護指定区域の七四%はブラジル内に属すという。
 四日付フォーリャ紙によれば、少なくとも計画上自然保護区域となっているのは地球上の一二・八%(一九八五年は三・四八%)で、その方法は公園や保護区設定など。五・八%は新たな開発も認めない完全保護域だ。
 また、〇三年以降の保護区域拡大で注目されているブラジルでは、他国を上回るペースで保護区域が広がっているという。
 しかし、そのブラジルで深刻なのは森林伐採の継続的拡大で、法定アマゾンの伐採や保護問題は、世界的関心事でもある。
 ブラジルの主な生態系は法定アマゾンや大西洋沿岸森林地帯(マッタ・アトランチカ)、カアチンガなどだが、各生態系の現存率や保護区域の指定率はどの位なのだろうか。
 五日付フォーリャ紙によれば、法定アマゾンの現存率は八二%で保護地域は一九・八%。パンタナルは八五%と〇・六%、カアチンガは四一%と五・六%、セラードは四〇%と四・六%、大西洋沿岸森林地帯は一一・四%と四・四%、パンパは四〇%と二・七%となっている。
 大西洋沿岸森林地帯の現存率が低いのは、同生態系が人口も多く開発も進んだ南西伯や南伯中心に広がっているためだ。
 そこで気になるのは、同紙が紹介する、大西洋沿岸森林地帯の伐採について書かれた「鉄と火」という書籍。伐採により原生林消滅に向かう様子は、現在の法定アマゾンへの警告ともなる。
 アマゾン乱伐が一気に進んだ一九九四年(二万九千平方キロ伐採)刊行の同書では、農地政策の不毛が土地の不法入手や伐採を刺激と指摘。
 その意味で、〇八年からの「火の弓作戦」での法定アマゾンの土地登記確認や違法伐採などの取締り強化、環境省の環境許可審査厳密化などは当然の流れ。ダッタフォーリャ調査で、アマゾン破壊の責任は製材業者や農場主が七二%と六八%、政府や議会が六三%と六一%という数字も、国民がアマゾンの自然破壊に厳しい目を向け始めた証拠と言えそうだ。

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