ニッケイ新聞 2009年6月4日付け
学生時代、幼少時を過ごした町を十年ぶりに訪れ、こんなに小さかったかと驚いたことがある。
体が大きくなり距離感が変わったせいだが、視点を変えたり、交通手段を替えたりすることで発見するものも多い。
例えば、会社の正面の道を下る途中のオーダーメードの靴屋。平日の午後、病院からの帰りに坂を登ろうとして発見したのだが、せかせかと歩いたり車で通り過ぎたりしたら、また、仕事帰りの時間なら、気付かないまま過ぎた場所の一つだ。
普段は見落としているものがいかに多いかを実感した一時だったが、これは肩を痛めた副産物。
立ち止まらなければ見えないもの、気付かないものも多いことを教え、周りの人の優しさに気付かせてくれた痛み。こんな発見がついてくるなら病気やケガも悪くない、なんていったら、心配顔の家族や友人が本気で怒るかな。 (み)