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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年5月30日付け

 オバマ大統領が核兵器削減に意欲を示し米ロの軍縮交渉も始まり、核廃絶の夢に明るい日差しが射している。けれども、核5大国やインドとパキスタンもだし、イスラエルの核保有も確実視されているのだから、むしろ国際的な危機は高くなっている。南アとリビアは開発路線を放棄したが、北朝鮮とイランは原爆とミサイルに執念を燃やしている▼金正日氏が君臨する北朝鮮の無謀にはもう匙を投げるしかない。隣人への思いやりはまったくなく、非情な武力だけを誇示する冷酷さだけが目立つ。あの隣国は理想の国だからとし在日朝鮮人らを帰還させ幾多もの悲劇を生み、日本人を連れ去る拉致事件もある。韓国の閣僚らを暗殺したタイのテロ事件、大韓航空機爆破という悲惨な犯行もある。そしてー核の地下実験である▼しかも、日本海ヘミサイルを発射し、持てる最新兵器の威力を誇る。06年にも原子力爆弾の実験をしており、先月5日には弾道ミサイルを発射し日本の上空を越えて太平洋に落下している。このように北朝鮮の核兵器への執着は極めて強く、妄執に近い。今回の実験は長崎に投下された原爆と同じ程度の規模とされるが、これでも日本には大いなる脅威となる▼勿論、日本は厳しく非難し、一切の北朝鮮向け輸出を禁止の制裁措置を国会決議したが、もっと抜本的な対策を取るべきは言うまでもない。日本はミサイル防衛(MD)を持っているが、ミサイルが多数飛来すれば防げないの現状であり、集団的安全保障の課題についても、平和論だけで片付けるのではなく、本格的な国防論議を進める必要がある。 (遯)