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金融危機で母国送金が急減=前年第4四半期から3割も=日本からは37%マイナス=帰伯の送金増も影響か

ニッケイ新聞 2009年5月26日付け

 世界的経済危機から国外就労のブラジル人の解雇が進む中、ブラジルへのドル送金が減少している。十八日付エスタード・デ・サンパウロ紙によれば、今年第1四半期の母国送金額は〇八年第4四半期から約三一%の減少、三十万人以上のブラジル人が暮らす日本からの送金額は平均をはるかに上回る三七%の減少率を記録した。雇用の悪化で送金が難しくなったことに加え、昨年九月の金融危機発生と帰伯にともない、年末にかけて送金額が急増したことなどが背景にあると見られている。

 昨今の経済危機による雇用状況回復の目処は未だ立たず、今年第1四半期の国外就労ブラジル人の家族への送金は今までにない減少額を記録した。
 ブラジル中央銀行の報告によれば、今年一月から三月の国外全体からの送金額は、一九九五年以降最高額を記録した去年の第4四半期の送金額と比べ三一・五%減少し、〇六年以降最低額となる五億九千二百ドルを記録した。〇八年の第一四半期と比較しても、一四・六%の減少となっている。
 日本在住のブラジル人からの今年第1四半期の送金額は、一億三千七百二十万ドル。昨年の第4四半期と比べて三七・七%減少し、全体から比べても減少幅は大きくなっている。
 その他、米国からの送金額も前四半期から二四・八%減少して二億六千八百四十万ドル。〇三年以降の最低額となった。
 経済危機が表面化し多くの失業者による帰伯が進んだ去年末は、同銀行で送金額に膨張が生じたという。この時期、出稼ぎ労働者により海外で貯蓄されていた全ての資金が一機に送金に回されたことが背景にあるようだ。
 金融危機発生から六カ月が経ち、厳しい現状が明確に数字に現れてきた。ロンドンで送金業務を手掛けるミナス・トランスファー株式会社のラエルシオ・ダ・シルバ代表取締役は「去年の十月、十一月は大量解雇により送金額に乱れが生じ、十二月に一度安定したものの、一月に入り状況は悪化し約三〇%の減少が起こった」と話す。
 同氏によれば、ロンドンの出稼ぎ労働者からは月に平均三度から四度の送金があったが、経済危機後は月に一度の送金しか行われなくなったという。
 同氏は「彼らのブラジルのポウパンサに向けた送金は途絶えてしまった」と見ている。
 市の経済を米国出稼ぎ者からの送金に頼っているマット・グロッソ州のゴベルナドール・バラダーレス市では、市の人口の約五分の一にあたる五万人が国外就労に出ていると推測されている。
 同市商業連盟のエジミルソン・ソアーレス・ドス・サントス会長は、「経済危機で送金が減少してから、街では閉店、休業する店が増えている。市の経済は、今だ独り立ちする準備ができていない」と話す。
 同連盟の調査によれば、同市では国外就労者のいる家族は月額約四百ドルの送金を受け取っていたという。