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ドル安攻勢始まる=中銀の力で流れ抑止は困難

ニッケイ新聞 2009年5月22日付け

 輸出振興のためドル高を推し進めたい政府の意向を汲む中央銀行が二十日、これまでの一回平均一億五千万ドルを大きく上回る十二億ドルの為替介入を行ったにも関わらず、結果は政府の意向に反したと二十一日付けエスタード紙が報じた。
 中銀は一ドル二レアルを切るのを防いだが、下げ傾向は止められなかった。これでレアル通貨は、今年二三%上げた。レアル高騰には、四つの理由が挙げられる。
 一は証券市場を始めとするドル通貨の流入。中銀は二十日、五月十五日間の外貨収支が二十億六千万ドルの黒字と発表した。そのうち十四億ドルは、金融投資だ。
 二は銀行が、レアル高で先物投資をしていること。レアルが高騰するほど、銀行が儲かる仕組みになっている。
 三は、貿易収支。五月第二週までに七十八億ドルの貿易黒字を計上し、関係者の予測を上回った。特に輸出の大半を占める農産物コモディティの高騰は大きい。
 さらに国内大手企業の外資調達が再開し、脱兎のごとく資金捻出に奔走しているので、来る数カ月の流入額は大きい。
 それにブラジルの政策金利は史上最低率というが、まだ外国投資家にとっては垂涎の的となっている。例えば、米国の政策金利〇・二五%以下に対し、ブラジルは一〇・二五%だ。
 サンパウロ市証券市場は昨年、株価指数を四一%落としたため国外投資家にとって魅力の稼ぎ場。証券市場が正常化し次第、確定利付き投資などが上昇気流に乗ると投資家は見ている。そのため一ドル二レアル突破は、時間の問題とされる。
 資金の流れは津波のようなもので、中銀の力で押し止めるのは無理と関係者はいう。中銀の本音はドル下落を支えるのではなく、急激な振幅を避けること。中銀の限られた資金力で流れを変えられるのかを、関係者は疑問視している。

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