ニッケイ新聞 2009年5月22日付け
「日本人ブラジル移民百周年、ブラジリア日系入植五十周年誌」の刊行にあたり、今年三月までブラジル中西部日伯協会連合会(FEANBRA)会長として編纂に携わった秋本満敏さんが本紙に喜びの声を寄せたので、紙上で紹介する。
この度、汎ブラジリア日系社会の待望でした『日本人ブラジル移住百周年、ブラジリア日系入植五十周年記念誌』刊行が完了しました。
ブラジリア在住の日系家族の一人でも多くの皆さんの参加を期待し、紳士録への参加の締め切り日を六回以上延期したこと等、諸々な理由にて望んでいた二〇〇八年の「日伯交流年」「日本人ブラジル移住百周年」内に於ける出版は不可能でしたが、刊行委員会全員の皆さんの献身的かつ昼夜の協力と、紳士録に参加して頂きました皆さんのご支援により完成しましたことは喜びに絶えない次第です。
記念誌刊行に当っては、約八年前に(故)山口道夫先生をリーダーとし、汎ブラジリアに於いて日本文化の継承、日伯文化交流事業の促進に携わって居た、(故)小林豊巳、(故)村上忠司、(故)井手弘、そして現在もご健全でご活躍する富樫雄輔、東海林茂、加藤正一、佐藤正記、高橋英一、畠野隆之、吉田武弘、上甲民江アリセ先生、根川幸男先生等有識者の皆さんが「ブラジリア日系社会四十年史」、「ブラジリア移民史研究会」の検討会を設け、「汎ブラジリア入植四十年史」委員会を結成し刊行すべき努力されました。
しかし、資料収集に時が容赦なく経過し、入植後既に四十五年の歳月が過ぎていた事、委員会のみの活動で短期に纏めることが非常に困難な事、五年後に迎える日本人ブラジル移住百年がブラジリア日系入植五十年となる事等を考慮した結果、双方を網羅した「記念誌」をブラジル中西部日伯協会連合会が主催となって刊行する事を協議し決定しました。
「四十年史刊行委員会」全員の参加を得た上で、現在の委員会〈林繁刊行委員長〉を構成し、最近の五年間、刊行委員会、連合会理事会、及び傘下の汎ブラジリア日伯文化協会の協力と日系家族の紳士録への参加を得て、資料収集、編纂、刊行の運びとなりました。
「日本人ブラジル移住百年史、汎ブラジリア日系入植五十年誌」は日本人ブラジル移住百周年の歴史、汎ブラジリア日系入植五十周年の歴史、地元日系団体の歴史をポルトガル語と日本語で、紳士録〈汎ブラジリア地域在住の日系家族の歴史〉はポルトガル語のみで記載した四百八十ページの記念誌です。
現世代に私達が受け継いだ無形知的遺産を継承し、後世へ更なる無形遺産として伝え継ぐ為に歴史は貴重な役割を持つと確信します。其れが故に本記念誌が一人でも多くの日本とブラジルの皆様に愛読され、歴史を通じて先駆者の尊い指導と経験を学び悟り、私達自身の歴史を築き、後世へ伝える事に僅かでも貢献できますことを切願する次第であります。
刊行委員会発足当時から記念誌刊行完了に至るまで全面的にご協力、ご支援下さいました皆様に厚くお礼申し上げ、記念誌刊行完了の喜びのことばに代えさせていただきます。