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ルーラ訪中=暖簾に腕押しの中国=一筋縄で行かない大市場

ニッケイ新聞 2009年5月20日付け

 主要輸出先を米国から中国に切り替えたブラジルのルーラ大統領一行は十八日、中国政府に牛肉市場の開放を求めたが、再度延期となり、当面鶏肉に留まるなど、勝手の違う中国市場を見せつけられたと十九日付けエスタード紙が報じた。
 ルーラ大統領と胡錦涛主席の伯中首脳会談は十九日、北京の天安門人民大会堂で行なわれた。今回の主要テーマは、中国開発銀行によるペトロブラス向け融資と二〇一〇年から二〇二四年までの相互供給計画の承認。
 伯中両国は旧世界秩序が破綻したのを機会に、新たな国際秩序を構築し調整と協力関係の強化を図る。中国が提案するドルに代わる新基軸通貨の設置に、協力の用意があると表明した。
 また政府は訪中の直前、二国間の共通通貨の採用を中国に提案した。同時に両国の輸出品目多様化とブラジルへのハイテク提供を要請した。中国では個人所得増加に伴い豚肉消費が年々増大。豚肉の世界消費一億トンのうち五三%を中国人が食べるので、ブラジル産の豚肉消費を勧めた。
 伯中実務者会議は十月、両国の副大統領級レベル代表がブラジルで会し、通商交渉の詰めが行なわれる。牛肉輸出は〇五年、口蹄疫(こうていえき)が発生して差し止められた。中国政府は〇八年、同病の感染がなかった四州と精肉処理場三カ所に限って輸入再開を許可した。
 政府は四州に限らず、南麻州やサンパウロ州、ゴイアス州、ミナス州などの大生産地からも牛肉を輸入するよう要請した。牛肉の輸出再開交渉は訪中直前まで執拗に行なわれたが、進展はなかった。
 鶏肉輸出に関しては二月、中国側が輸入の意向を表明したが、現在まで発注書が出ていない。ブラジルから羊と山羊の臓物注文が出ないと、鶏肉を発注しないと中国はいう。
 中国の産業は先進国向け輸出が頓挫したため、ブラジルなどの新興市場を求めて攻勢をかけている。ルーラ大統領の訪中で、交渉済みの件はサインを貰えると思ったが、そうはいかなかった。中国からの輸入が一七・一七%減ったことへの不満のようだ。