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マンテガ財務相=ゼロ経済成長率を示唆=途端に弱気発言へ=アングラ部分は27%成長?=税務重負担と汚職で

ニッケイ新聞 2009年5月16日付け

 マンテガ財務相は十四日、〇九年度の経済成長率は、最悪事態から脱出したものの、ゼロから二%に留まる可能性があることを示唆と十五日付けフォーリャ紙が報じた。政府関係者は、これまで二%成長の強気であったが、IMF(国債通貨基金)やCepal(中南米経済委員会)などの弱気発言で水を差されたようだ。財務相はさらに、政策金利引き下げによる所得税や各種投資の配当率調整は時期尚早として、今のところは大幅な変更はしない構えのようだ。

 第1四半期の決算報告が次々発表されたことで、財務相は初めてゼロ成長の可能性を認めた。〇九年は不確定要因が多く、予測の困難な年であると言い訳をした。
 国際経済の調査機関が〇九年を後退の年とする国際不況の中で、ブラジルは今まで強気の姿勢を貫いてきた。ブラジルの〇九年経済成長率をIMFはマイナス一・三%。Cepalはマイナス一・〇%。OECD(経済開発協力機構)はマイナス〇・三%とした。
 ブラジルの中央銀行は成長率を一・二%と推測しているが、政府は二%成長をベースに税収などの予算計画を立てている。財務相は、「先進国が軒並みマイナス四%だから、ゼロ成長でも良いほうだ」と負け惜しみをいう。
 FGV(ジェットゥリオ・ヴァルガス財団)の調査では、金融危機のために経済成長がアングラ市場で伸びたため、政府の統計に出てこないという。アングラ市場での成長率は〇八年に二七・一%との計算もある。
 ブラジルでは経済の三〇%がアングラといわれる。経済活動をアングラへ追いやった要因は、税務負担だという。非正規雇用の増大や現金預金の増加がそれを物語っている。このアングラ部分では、当局の目を逃れるため従業員を登録しない。債務決済に銀行を使わない。アングラ銀行を使って活動をする。
 ブラジルでは経済活動の重荷に、もう一つ汚職がある。公金横領とは、主に脱税のことをいう。脱税の指導と罰則の軽減を監督官や政治家に仰ぐため謝礼や献金をする。アングラ経済は金融危機に関係なく、今日も活発に動いている。