ニッケイ新聞 2009年5月14日付け
Febraban(ブラジル銀行連盟)は十二日、二〇〇九年度十二月末のマクロ経済事情と金融予測を発表と十三日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。同連盟によれば、〇九年のGDP(国内総生産)はマイナス〇・〇一%、クレジットは前年同期比一四・二%増、外資の流入は二百二十七億ドル、政策金利は九・二五%、ドル通貨は二・一七レアル、インフレは四・四一%、貿易黒字は百七十三億ドル、債務不履行は五・九%とした。金融市場の流通量は、年末までに正常化する見込みだという。
銀行連盟は三月と五月のマクロ経済調査をベースに、ルーベンス・サルデンベルグ経理部長が年間予測を行なった。法人や個人への銀行融資はここ数カ月で回復しつつあり、年末には完全正常化の見込みという。
産業の生産水準は、需要の全般的な盛り上がりにより段階的に回復基調に入る。それに先行するのがクレジットの回復、その原動力となるのが引き下げ傾向にある政策金利。予測ではもう二回、〇・五%ずつ引き下げが行なわれる。
調査から、固定資本が〇九年に〇・七%減り、工業生産が二・九%減と予想。それに伴って九十日以上の債務不履行が五・四%から五・九%へ増える。しかし、この数字は銀行の融資緩和ではないという。債務不履行の五・九%は、金融危機による影響で生産が低下するなら、当然、予測される数字だとした。
GDPは三月時点では〇・三%増であったのが、年末決算ではマイナス〇・〇一%に落ち込む見通し。四月で景気後退があったようだが、挽回できる可能性もあるという流動的な数字だ。
マクロ経済に関する総合的判断では、国際金融の投資家がブラジル経済に対して楽観的見方をしているので、証券取引所の活況やドル通貨に対するレアル通貨の高騰が予想される。
外資の直接投資(IED)は、二百十三億ドルから二百二十七億ドルへ増える。一方で恐慌の影響でインフレは一時、下火となる。しかし、年末には経済の回復とともにIPCA(消費者物価指数)が四・三%から四・四%へ僅か上る。
為替は年末、二・二九レアルから二・一七レアルへのドル安となる。これは国際不況のサインといえそうだ。コモディティの回復が百七十三億ドルの貿易収支黒字につながるとの予想が、唯一の慰めといえるようだ。