ニッケイ新聞 2009年5月8日付け
聖南西文化体育連盟会長の山村敏明さんや先の文協会長選挙に惜敗した小川彰夫さんに同行して、奥地の日系団体巡りにいった。手弁当で一日一千キロ、六団体を車で走り回るというのは、もの凄い情熱なくしてはできないことだと痛感した。同乗しているだけでクタクタになるのに、運転していた山村会長のタフさにはあきれる。柔道で鍛え上げた精神力と体力があってのことだ▼山村さんは朝五時半にレジストロを出発し、午前八時にはピニャール到着。その後、アヴァレー、パラナ州境近くのイタポランガへ。この地点で道路標識には「サンパウロ市まで三百六十二キロ」とあった。最後は夜、真っ暗な山道を一時間も曲がりくねった先にあるグアピアラへ▼これを日本に例えれば、東京―大阪間が約四百キロだから東京を出発して、長野、静岡、愛知、滋賀で一カ所ずつまわってきたような距離になる。奥地団体巡りを終えて、自宅に帰り着いたのは深夜二時近かった。総走行距離は約千キロ。東京―大阪間を往復するにあきたらず、静岡あたりまでさらに戻ったぐらいの計算になる。しかも、高速道路だけではない▼このような地道な働きかけの活動があってこそ、連帯感が生じ、連盟は活性化するのだと感じた。連盟役員自らが傘下団体の会館を訪ね、そこで話をすることで掛け値なしの実情が分かるし、誠意が伝わる▼サンパウロ市の文協が全伯代表を標榜するなら、せめて全連合会を回る情熱がなければ、日系社会の再編は難しいかもしれない。華々しい式典で挨拶をするのだけが、会長の仕事ではないとしみじみ感じた一日だった。(深)