ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 豚インフル=ウイルスがブラジル上陸か?=警戒水準、危機寸前へ=事実上の本土防衛作戦=頼りない伯大本営発表

豚インフル=ウイルスがブラジル上陸か?=警戒水準、危機寸前へ=事実上の本土防衛作戦=頼りない伯大本営発表

ニッケイ新聞 2009年5月1日付け

 世界保健機関(WHO)が豚インフルの警戒レベルをパンデミック(伝染病の世界流行)寸前の五に引き上げたことでジョゼ・G・テンポロン保健相は四月二十九日、「悪性伝染病はのっぴきならない事態にあるが、政府は防御対策に万全を期しているので国民は動揺しないよう通告」と同三十日付けフォーリャ紙が報じた。ベロ・オリゾンテ市とサンパウロ市の罹患被疑者各一人は、豚インフルにほぼ感染と公式筋が見ている。これでブラジルにも同ウイルスが、上陸したようだ。

 WHOが警戒レベルを四から五へ引き上げたことは、世界各国政府がパンデミック対策に万全を期するよう警告したもの。豚インフルの伝染度は異常に早く、パンデミック六宣言も時間の問題といえそうだ。WHOのフクダ専務理事は、パンデミックが既に初期段階にあると述べた。
 WHOはインターネットでウイルス変異の過程を段階ごとに紹介している。それと照合した結果、ブラジルの被疑者二人は豚インフルとほぼ確認され、本格治療が始まった。
 サンパウロ市の罹患被疑者は、メキシコ帰りの男性(28)でエミリオ・リバス病院に入院中。他に同じメキシコ帰りの七人は、まだ観察中。全国では十州の三十六人が、感染被疑で検診中だ。サンタカタリーナ州の三人は、メキシコ帰りの友人を訪問し症状を引き起こした。
 症状は感染後十日位で発熱や咳が始まるとして、専門家がブラジルの実情を次のように説明。米国を除く多くの国は、豚インフル・ウイルスの医療技術を十分習得していない。ブラジルは、米国で開発したインフルエンザ・ウイルスH1N1の検出セット提供を待っている状態という。
 インフルエンザに関するブラジルの医療水準は、被疑患者の分泌物のインフル・ウイルスがABC型のいずれかを検出するに過ぎない。現在伝染進行中のウイルスが、変異する場合のサブタイプやウイルスの系統に関する学術資料はない。
 ブラジルのインフル医療技術は、世界のどこにもある標準タイプなのだ。ブラジルに感染後、ウイルスが突然変異を起したらお手上げ。保健省はインフル・ウイルスの医療技術習得のため、米国へ専門家を送るのが手遅れであった。
 保健省がすることは、全て泥縄式。世界各国は、パンデミックを前に緊急会議を開いている。〇三年に起きた鳥インフルエンザは、豚インフルの予告であったようだ。