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豚インフルエンザ=隔離指定51病院で水際作戦=警戒レベル引き上げ=WHOが世界流行を懸念=国内被疑患者12人を収容

ニッケイ新聞 2009年4月29日付け

 世界保健機関(WHO)が豚インフルエンザの警戒レベルを四(六が世界的流行感冒の最悪レベル)に引き上げたことで保健省は二十七日、全国の病院五十一カ所で非常事態に備え隔離態勢を整えたと発表したことを二十八日付けエスタード紙が報じた。また保健省は現在、同ウイルスに感染した疑いのある航空機に搭乗した罹患被疑者十二人を隔離、症状を観察している。まだ国内での同ウイルス感染は、確認されていない。
 
 罹患被疑者と見られる十二人は、三人がミナス州、リオデジャネイロ州二人、アマゾナス州二人、北リオ・グランデ州二人、パラー州、サンパウロ州、バイア州各一人だ。
 水際作戦を取っている病院五十一カ所のうち、サンパウロ州は九カ所。サンパウロ市ではUSP大学病院と国立サンパウロ病院、USPクリニカ病院、エミリオ・リーバス病院、サンパウロ州内ではウニカンピ・クリニカ病院、リベイロン・プレット大学病院、サンジョゼ・ド・リオ・プレット大学病院、バウルー大学病院、サントスのギリェルメ・アウヴァロ病院。
 サンパウロ州内指定病院の隔離病床は百五十床、内六十床は空気を遮断した減圧病棟となっている。WHOが公式に汚染区域とした地方を旅行し、三十八度以上の発熱と風邪の症状を呈している場合は、直ちに隔離するようサンパウロ州衛生局が指示した。疑問その他は、緊急電話(0800・61・1997)に連絡を。
 サンパウロ市とベロ・オリゾンテ、サルバドール、リオデジャネイロ国際空港では二十七日に七万枚、二十八日に六万枚の豚インフルに関する注意書を配布。まだ旅行制限の指令はないが、汚染地域への旅行者は常時マスクを使用し、人ごみを避けるなどの注意が必要。
 他人との食器やコップ、タオル、身の回り品共用を避け、食べ物を分け合ったりしない、頻繁に手を洗う、といった注意も必要だ。帰国者の荷物申告書は、感染が疑われる場合に連絡をとることが出来るよう、当局が保管しておくという。
 保健省は今週、一月発注の市販名タミフル(製品名オセウタミヴィル)五万四千ドーゼを製造元ロッシェ社から受け取る。これを五十一の病院へ配布する。その他にも、カプセルに詰める前の粉状在庫が九百万ドーゼ分ある。
 鳥インフルエンザが世界を騒がせた〇五年から〇六年、各国はタミフルを大量に在庫し非常時に備えた。新型インフルエンザ流行の可能性もある今、品質管理と在庫に限度があるタミフルを処方箋もなく使うことは今後の対策上も問題があり、全ての薬局に配布は難しいようだ。