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二〇一〇年大統領選=官房長官が癌治療へ=病状次第では政局一転

ニッケイ新聞 2009年4月28日付け

 二〇一一年大統領選でルーラ大統領の後継指名が予想されるロウセフ官房長官は二十五日、リンパ系統に発見された癌腫瘍の治療を受けていると発表したことを二十六日付けフォーリャ紙が報じた。
 これから四カ月にわたり五回行なう化学療法のために、同長官にシリオ・リバネース病院でカテーテル手術を施した。二・五センチほどの腫瘍が発見されたのは、左側脇の下であった。
 腫瘍発見は早期の段階で、快癒の可能性は九〇%と見られる。同長官は、癌細胞について全身の精密検査も受けた。また親族にも癌を患った者がいないため体質的問題はないそうだ。
 癌治療のために政務は加減されないと同長官は強気であるが、これから大統領選に向けた全国遊説やイヴェント出席で強行日程が待っている。そのため官房長官の早期辞任も、選択肢にある。
 ルーラ大統領は治療のため休暇を勧めたが、同長官は不要と断った。大統領府やPT(労働者党)執行部は、まだ代替候補について口を閉じている。野党は、PT第三次政権の可能性が弱まったと見ている。
 癌治療の発表は、大統領選の連立根回しや支持取り付けに大きく影響する。これまで連立関係にあった党は、少なからず動揺した。議席数で最大党のPMDB(民主運動党)は万一を慮って、PSDB(民主社会党)にも色目を流している。
 政府は不安色に包まれた。PTB(ブラジル労働党)は、官房長官と抱き合い心中をするという。免疫性を著しく低下させる化学療法は、これから始まる。鉄の女とはいえ、闘病生活と過激日程の中での選挙だ。
 六十歳以上の女性に、このタイプの腫瘍は珍しくない。過去二十五年間に、同長官の腫瘍は倍増した。農薬禍による腫瘍と同タイプで、発癌物質がリンパ腺に溜る。同長官の腫瘍は、骨髄へ広がる危険がある。