ニッケイ新聞 2009年4月25日付け
ルーラ大統領は二十三日、ジルマール・メンデス長官とジョアキン・バルボーザ判事が最高裁法廷内で前代未聞の口論をしたことについて、「この悶着は〃憲政の危機〃とは無縁のものであり、これが問題になるなら、ブラジルにサッカーは存在しなかった」と評したことを二十四日付けエスタード紙が報じた。「サッカーで口論は毎度であり、口論がなければサッカーは面白くない。最高裁の両者は単に意見が相違し、理解しあえなかっただけ」と沈静化を図った。一方、最高裁のブリット判事とレワンドウスキー判事は当のバルボーザ判事と昼食を取り、両者の和解に努めた。
通商交渉と経済危機について話し合うため亜国を訪問中のルーラ大統領は、最高裁の一件をいかに裁くのかと心配そうに質問した亜大統領に、「サッカーならば、聖日でも喧嘩をする」と答えた。
ブラジル国内の内輪喧嘩を外国の話題にされたくないが、すでに国際ニュースで世界へ報道されたようだ。言葉使いが少し厳しかったので、双方がよく理解できなかったために起きたことと大統領は説明した。
ブラジルの報道関係者は最高裁の一件を、亜大統領がどう捉えているのか質問した。亜大統領は外交上、意見を述べる立場にないと返答。外国の内政問題に口を出すのは不適切と逃げた。
ポルト・アレグレ滞在中のジェンロ法相は、最高裁の一件を「ブラジルで最も教養ある人物が一時的に疎通を欠いただけだが、社会的責任もある」と評した。
法相は「最高裁の見識は最高の良識と連邦令で定められ、些細なことで怒ってはならない。大きな役割を負っているわりには、腹が小さい」と述べた。ブラジルで最も円熟した人間の不和であり、和解の労は不要と法相は思っている。
それでも最高裁のカルロス・A・ブリット判事とリカルド・レワンドウスキー判事が、蒸しタオルを持って腫れ止めに向った。それで休戦協定成立に努める考えだ。
和解工作に赴いた両判事は、メンデス長官とバルボーザ判事に立場上態度が不適切であったと説得する。長官は目立ちたがり、判事は孤立化の傾向があると関係者が評している。
口論の発端は、同判事が休暇中に決定された内容について、同長官とチグハグな問答をしたことにある。ただし、その背景には、両者が検察庁にいた時代から見られた、自分の出身である庶民よりの考え方をする同判事と、ホワイトカラー的な長官との肌合いの違いもあるようだ。