ニッケイ新聞 2009年4月24日付け
日本の総務省は二十四日、地上デジタルテレビ放送の規格としてペルーが日伯方式(ISDB―T)の採用を決めたと発表した。南米諸国での採用は〇六年六月のブラジル以来二カ国目。今後の他国への採用働きかけにも追い風になりそうだ。
麻生太郎首相の特使として同国訪問中の山口俊一首相補佐官が二十三日(ペルー時間)にガルシア大統領と会談し、大統領から採用の決定が伝達された。同日公表され、ペルー国民に伝えられている。
共同通信によれば、鳩山邦夫総務大臣は「決定を歓迎し、ペルーでの地上デジタル放送の導入に向けて最大限の協力を実施する」とのコメントを発表した。
国際標準となっている地上デジタルテレビジョン放送の規格には、日伯方式のほか欧州、米国の三方式があり、日本はブラジルの採用以来官民が連携して、セミナーや試験放送、ペルー関係者の日本への招聘など働きかけを続けてきた。
日伯方式は他方式と比べ電波障害に強く、移動時でも受信が良好なことから、携帯端末向け放送(ワンセグ)などでの優位性が評価されたようだ。
ブラジルでは二〇〇七年十二月から放送を開始しており、現在十五都市(人口カバー率六五%)で放送されている。
日本はブラジルと連携して、未だ方式決定をしていない南米諸国(アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、パラグアイなど)に働きかけている。アジアではフィリピンに採用を働きかけている。
ペルー政府が正式に日伯方式採用を発表したことを受け、総務省はホームページで、ペルーにおけるデジタルテレビの早期の実用化と普及に向けて技術協力、人材育成など支援していく予定としている。