ニッケイ新聞 2009年4月21日付け
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)が十七日にグラン・ハイアットホテルで開催した四月定例懇親昼食会で、ジルベルト・カサビサンパウロ市長が日本移民百周年に関する評価、大阪市との姉妹都市提携四十周年などについて講演した。百周年についてカサビ市長は「日本から多くの使節団に来ていただき、皇太子さまのご訪問も受けることができた。深く感謝の意を表したい。昨年は一年かけて祝ったが、今年はこれからの百年の基盤を作ってほしい」と述べ、日系社会への期待感を示した。
カサビ市長はさらに「リベルダーデはサンパウロ市にとってかけがえのない場所に成長した。日系社会に敬意を表したい」と述べ、「日本文化、技術、研究には山ほど学ぶところがあり、サンパウロがますます日本に近づけるよう関係を密にしたい」と思いを語った。
また、大阪市との姉妹都市提携四十周年を記念して五月に同市を訪問することについてカサビ市長は「東京ではモノレール、JRなどの公共交通機関の勉強をしたい。大阪では姉妹都市提携四十周年をお祝いすることが中心。大阪市長との懇談もあり、環境、観光の見学をしたい」と意気込みを語った。
二〇一四年にブラジルで開催されるサッカーW杯にむけて、〇二年に日韓W杯の試合が行われた大阪市からノウハウを学びたいとしている。カサビ市長の訪日は五月十一日から十七日を予定している。
このほかにもサンパウロ市の抱える問題について、「現在地下鉄の延長やバスレーンの施設、各種公害対策に取り組んでいるが、中でも景観公害、大気汚染、騒音公害に力を入れている。我々サンパウロ市が成功すればブラジルも成功する」と述べ、市役所の活動に協力を求めた。
また、訪日後には、「使節団で得たものをみなで共有したい。それが、サンパウロ、ブラジル、日本に対する責任」とサンパウロ市にとっても意義深いことを再度強調した。
カサビ市長は「サンパウロ市は世界中から集まった人々で作られている。他の地にはない特徴を持った街が出来上がっているとの心意気をもって、市政に取り組んでいきたい」と日系社会、日本とのつながりの重要性を強調した。
講演終了後は、日系社会との連携強化にさらに一役買ってもらおうと願って、ニッケイ新聞社が出版した百周年記念写真集『百年目の肖像』が高木ラウル社長からカサビ市長に手渡された。