ニッケイ新聞 2009年4月21日付け
先日、前を見ずに歩いていたら、すれ違い様買い物袋を抱えた主婦にぶつかってしまった。
思わず「ごめんなさい」とつぶやく私に相手は「nao pega!(盗らないで)」と叫んだ。唖然としてしまった。
最初こそ憤慨したが、冷静に考えてみると単に意識の差があるだけなのだ。治安の良い日本では、ぶつかってくる人は不快の対象でしかない。 一方、治安が悪いこの国ではぶつかってくる人は「荷物を奪う人」かもしれない。
それゆえ、とっさの対応も私の場合は謝罪の言葉であったのに対し、相手は威嚇の姿勢だった。
この出来事の後、何と強盗に遭遇。怪我はなかったが、本当に怖い思いをした。自己防衛の意識こそが必要なのだと改めて実感。
ようやく、先日の彼女の対応が理屈でなく、体で理解できた気がした。 (裕)