対キューバ政策=旅行や送金を自由化=通信、航空、鉱物株に注目が
ニッケイ新聞 2009年4月15日付け
米政府は十三日、米国在住のキューバ人に対する旅行制限廃止や送金、日用品の郵送を自由化することを発表と十四日付けフォーリャ紙が報じた。米電電公社は同日、キューバ向け固定電話や携帯の通話を解放し、BSやインターネット経由のテレビ放送発信も自由化と発表した。
しかし、四十七年間断絶が続いている通商関係や定期航空便の開通にはチャーター便を除いて触れなかった。米国には現在、キューバに親族を持つキューバ系米国人が百五十万人生活している。
キューバに在住する親族との絆は、人道的問題ばかりでなく、キューバに民主主義が根付くための導火線でもあるとホワイト・ハウスは見ている。但し、送金額は無制限としたものの、キューバ政府や共産党の資金となることを禁じた。
ブッシュ前政権の鼻を木でくくった態度とは、大変な違いだ。米国籍を有するキューバ人による大量の生活物資がキューバへ発送されるため、キューバ政府または共産党が利用する可能性がある。これの管理法について細則が、まだない。
先ずビジネス・チャンスの到来でニューヨーク株式市場を賑わしたのが、通信関係と航空関係、鉱物関係の株。
米政府は政治的接触に関心はないが、公約通り人道的配慮を主眼とした。トリニダード・トバゴの米州首脳会議では、ワシントン・ハバナ関係が議題に上る模様。
米議会ではキューバ旅行制限の撤廃で意見が二分している。米国の本音はキューバの共産主義終焉にあるが、今回の対策がラウル政権を利するという意見だ。
米国内には、キューバ系国会議員(共和党)が二人いる。これまでの米政府によるキューバ対策は、米国の一方的サービスばかり。キューバ政府は大量に入る在米キューバ人の送金で、国庫が潤っているというのだ。