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雇用課税=企業負担の削減検討=解雇回避の代償原案作成

ニッケイ新聞 2009年4月9日付け

 ルーラ大統領は七日、労組代表を招き、雇用に伴う企業の税負担軽減で雇用維持を図ることを討議と八日付けフォーリャ紙が報じた。労組代表は近日、同件に関する政府原案を受け取る。
 政府原案では、減俸することなく勤務時間を二〇%縮小する。その代償として、従業員の給与に対する企業の税負担の一部を三〇%から一九%へ減らす。経営者の税負担は四〇%から二〇%へ。
 政府案の容認は、任意制とする。同対策は、解雇を避けるための一時的な緊急案だ。臨時雇用と希望退職の場合は、同対策に該当しない。
 昨年十一月に雇用情勢が悪化してから、これまでに全国で七十九万八千人が失職した。経済の悪化は、ルーラ大統領の支持率にも影響を及ぼした。最近の調査によれば、ルーラ政権の最良と良評価はさらに五%落ち、六五%となった。
 同政府原案は、国庫には損失をもたらさない。従業員が解雇されると、直ちに社会保障院へ回り、七カ月間、失業保険が支給される。社会保障院の税収減は、失業保険によってカバーされているので安泰という。
 社会保障院の厚生福利引当金の他、従業員給料の二・五%を教育基金に、〇・五%を労働傷害保険に、〇・二%を農地改革院基金に、FGTS(勤務年限保障積立金)を含めて合計三四・三%を企業は負担する。千レアルの給料を払う従業員に対し、企業は合計で千三百四十三レアルを払うことになる。
 ブラジルの雇用に伴う企業負担が過重であることは再々議論されるが、交渉が進展したことはない。労働法の改正は、いつも途中で立ち消えになる。それは財政収支が優先され、税収減となるものを握りつぶすからだ。社会保障院引当金が一%減ると、国庫は三十億レアルの減収になる。
 ちなみに外国の従業員採用による企業負担は、スウェーデンが二四・五%、イタリアが二四・三%、スペインが二三・二%、メキシコは一〇・六%となっている。