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ロンドンG20サミット=恐慌突破の金融改革を討議=1兆ドルの資金注入=ブラジルのも相当額を融資か=新興国援助で危機脱出へ

ニッケイ新聞 2009年4月3日付け

 ロンドンで二日から開催のG20緊急首脳会議に先立ち、マンテガ財務相は四月一日、準備会議などの打ち合わせでは、金融危機で喘ぐ国際経済に一兆ドルを注入し、新興国の産業振興で危機突破を企てる計画であることを明らかにしたと二日付けエスタード紙が報じた。資金は数々の国際的基金や政府から調達し、国際通貨基金(IMF)へ七千五百億ドル、世銀(IBRD)へ二千億ドルを出資する。主要各国の思惑で乱れる金融システムに新たな規制を設けることで、G20各国政府は基本的に合意した。

 金融危機に苦しむ途上国の発展を支えるため、国連は一兆ドルの支援策をG20に要請すると潘基文国連事務総長は発表した。
 一兆ドルの資金源は米国の信用機関NABが二千五百億ドル、IMF出資国の特別貸し出し枠から二千五百億ドル、日本政府が一千億ドル、EUが一千億ドル、ノルウェー政府が四百八十億ドル、その他が二十億ドル。IMF自身が二千五百億ドルを出して、合計で一兆ドル。
 マンテガ財務相の話によれば、同資金の拠出は国際機関による金融再規制化の確認次第という条件付合意という但し書きがあるそうだ。
 IMFの組織改革を行い、加盟国への融資を再規格化する。IMFは、議決権のない加盟国や非出資国に運営の采配をさせない。IMFに並行して世銀は、国際経済の活性化を担当する。
 さらにG20各国は二千億ドルを出し合って、成長期にある途上国へ資金援助を行い、経済活性化に努めることも話し合うと財務相がいう。
 ブラジル政府も、一兆ドルの一部を出す。ブラジルは国際金融を建て直す立役者の一人だから、旧金融システムのどこをどのように改革するのか、国民の血税がどこでどう使われるのか勉強する必要がある。
 二日付けフォーリャ紙でルーラ大統領は、二十億ドルの外貨準備高から貸し出す形であれば、ブラジルにふさわしい金額を投入する準備があることを明らかにし、「ブラジルは重要性のない小国ではない。貧しい国々を助けるために融資をする」とのべた。
 G20準備会議は二月二十二日にEUで行われ、IMFの機構改革や資本強化、議決権の変更などが話し合われた。ブラジルは欧米の腰巾着ではなく、独自の旗色を鮮明にすることにした。
 恐慌の津波は面前に迫り、誰もが政権の運命を賭けて待てない切羽詰った状態にある。
 しかし、さすがの断崖絶壁にも踏破できそうな足場がありそうだ。G20首脳の目が、一縷の望みに集中している。準備会議の出席者は、サミットが一筋縄でいかないことを百も承知している。