ニッケイ新聞 2009年4月2日付け
第二回アラブ南米合同会議は三月三十一日、カタールのドーハで開催されたが、ルーラ大統領が会議終盤の昼食会から退場するなど、スーダンの独裁者で戦犯容疑のオマル・アル・バシル大統領を巡って白けた雰囲気で終了と四月一日付けエスタード紙が報じた。アラブ連合を通じて同会議に支援を求める同大統領の参加は、予想通り賛否二分した。南米連合はダルフール紛争に対し白紙宣言を以って、アラブ諸国への抗議を試みた。そのため同会議は、議題の討議に至らなかった。
バシル大統領がダルフール紛争で三十万人の反政府派を虐殺したなどの戦争犯罪の容疑で、国際刑事裁判所から逮捕状がだされていたが、アラブ諸国はそれに反発し、別の解決策をもとめていた。次の一歩として南米連合に同意を求めるつもりであったが、同大統領は支援を求めるところまで至らなかった。
会議二分のハプニングは、もう一つあった。リビアのカダフィ大佐が、ルーラ大統領の演説中に退場したこと。同会議執行部が、バシル大統領とルーラ大統領に折り合いの機会をつくるため、昼食会で同席させたのが逆効果であったようだ。
ルーラ大統領とバシル大統領は、軽く会釈をしただけで言葉を交わすことはなかったと、大統領側近が話した。ルーラ大統領は、退場の理由に一切触れることなくドーハを後にした。
伯大統領はスーダン大統領を敬遠したが、チャベス大統領が同大統領をベネズエラへ招いた。チャベス大統領によれば、同裁判所は帝国主義の片棒担ぎだという。
昼食会では伯大統領が先に到着し、サラダを食べていた。遅れてスーダン大統領が到着、入れ替わりに伯大統領が急用を思い出したといって退場。伯外務省が、伯大統領は次の予定があるので、一睡のため退出と事情説明を行った。
昼食会の退場とバシル大統領への態度などでルーラ大統領の説明は一切ない。アラブ連合にはブラジルの国連安保理常任理入りで、支援を取り付けた借りがあり、すげない態度はとれない。
伯外務省が、バシル大統領の刑務所拒否は同会議の議題になかったと釈明。それでも同会議は、ダルフル事件を平和的解決で合意とする決議文を発表。国際裁のコの字も出なかった。バシル大統領は、記念撮影に入らなかった。