ニッケイ新聞 2009年3月27日付け
連邦警察は二十五日、ゼネコンのカマルゴ・コレーア建設会社重役四人と秘書二人を含む十人を談合や公共工事の水増し請求、国外違法送金、政治献金などの容疑で拘束と二十六日付けエスタード紙が報じた。現時点でPPS(社会人民党)とPSB(社会党)、PDT(民主労働党)、DEM(民主党)、PP(進歩党)、PMDB(民主運動党)、PSDB(民主社会党)の七党が同社からの政治献金を受領。違法行為で国外送金された不正資金は、二千万レアルと見られる。
カマルゴ・コレーアの不正システムは、次のようなもの。違法入札や水増し請求で得た違法資金を国外へ送金。送金は為替業者複数を通じて、ケイマンやウルグアイ、スイスへ架空不正送金を行う。この方法では、銀行経由の資金移動がないので、形跡を残さない。
架空不正送金とは、為替業者Aが同社から受け取った金額を、国外の為替業者Bに電話連絡をする。Bは同社の国外にある銀行口座へ、同額を振り込む。
これで国外違法送金と犯罪組織の構築、資金洗浄、違法入札、違法金融活動などの犯罪が成立する。同社は七十年前、零細建設請負業で始め、現在は六万人の従業員を擁し、世界二十カ国にまたがる多国籍企業に成長。二〇〇八年度は、百六十億レアルもの事業規模に至った。
連警は連邦会計検査院の協力で十六カ所の家宅捜索を行い、ペンドライブから裏会計と関係した政治家名簿が収録されたファイルを探した。
同社は一切の違法行為を否定しているが、違法送金をした資金によるオフショア取引(非居住者間の資金運用)の形跡を連警は確認した。
捜査は「砂の城」と命名され、〇八年一月、同社と関係する為替業者の周囲洗い出しから開始した。同社はFiesp(サンパウロ州工業連盟)と政界との折衝仲介も行ったとの容疑ももたれている。
連警によれば、水増し請求された疑いのある物件としては、ペルナンブッコ州レシフェの製油所建設の見積もり金額四億二千九百万レアルが挙げられている。
連邦会計検査院の監査では、十二カ所に不正な計算がみられ、七千百九十万レアルの損害が生まれるという。発注主のペトロブラスでは、この報告を受けて支払いを停止するなどの動きがでている。