ニッケイ新聞 2009年3月26日付け
「ようやく安心しました」――。昨年末の記者会見で約百七十六万九千レアルの未払い金があることを発表(十二月二十三日付け九面で報道)したブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)が二十五日午前に記者会見を開き、祭典や日本文化週間に関する業者への未払い金を完済したことを明らかにした。上原理事長、渡部和夫顧問、免税団体OSCIPの中矢レナット理事長らが出席した。説明によれば、在日外国人向けメディア「IPCワールド」(本社東京)からの送金、観光省からの三十七万レアルなどが充てられたという。しかし、サンパウロ市からの百二十万レアルの支援金は未だ下りておらず、同協会の金庫番であるOSCIPの中矢理事長は、「引き続き市と交渉していく。百周年基金としてコロニアのために活用したい」と話している。
IPCの八十六万九千二百八十二レアルは昨年十二月にブラジル側に入金され、飯星ワルテル連邦下議の議員割り当て金(観光省)三十七万五千レアルは、使用許可が出たのが三月初旬だったという。
観光省には規約上、協会から一割の三万七千五百レアルを先に入金する必要があったため、計四十一万二千五百レアルが返済に回されている。
差額となった四十万六千三百六十二レアルについて、未払い金がある企業に説明を行った原長門委員会コーディネーターによれば、「支払いが終わっていなかったのは十五社ほど。事情を説明したところ、デスコントしてくれた。百周年に協力できたことを喜んでくれていたようだ」と説明する。
未払い分は解決したようだが、現在OSCIPの口座に十五万レアル、協会には五万レアルがあるのみ。
監査法人に年間契約料約十二万レアル(〇八、〇九年分)を支払い、職員らの人件費を支払うと「五万ほどしか残らない」と説明する中矢理事長が頭を痛めているのは、日系市議ら四人が議員割り当て金を百周年支援に充てた百二十万レアル。
ジルベルト・カサビ市長とも直談判、財務局から企画局に送金されていることは確認済。「市長の特別補佐の助言で書類を作成したが、堂々巡りしている」と困惑顔を見せながらも、「百周年基金として活用するため、何としても解決しなければ」と市議らと連携して交渉を続けていく考えを示した。
他の未回収金としては、ウィリアン・ウー連邦下議の議員割り当て金三十万レアルがあり、中矢理事長は二十四日に同議員の秘書らと会合、「近日中に振り込む」との説明を受けたという。
この支援金は、ウー議員の希望もあり、若い世代の活動費に充てられるほか、渡部和夫氏が八月に予定しているシンポジウム「(仮称)何故ブラジル社会は移民百周年を祝ったのか」の開催費用として活用される。
四月一日には、監査法人による会計が報告される予定のため、四月中に総会が行われる予定。