好調な対イラク貿易=金融危機がない国へ輸出を
ニッケイ新聞 2009年3月25日付け
ブラジルは二〇〇八年、イラクへ前年同期比六七%増の三億七千七百万ドルを輸出と二十四日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。好調な両国間の通商関係にイラク政府は、本格投資を考えているようだ。
イラク政府は、四月十二日開催予定のナジャフ物産展にブラジルの輸出業者多数を招いた。物産展の主な目的は、ブラジルのメーカーや物流業者、農業生産者、土建業などのサービス業者との関係強化にある。
これまでイラクとの貿易は、サダム・フセイン前大統領が民間交易を許可しなかった。解放後六年目、ようやく三三%を民間へ移譲した。現在は金融機関も整備され、輸出入銀行もある。
ブラジルイラク商工会議所も創設され、会頭は物産展の開催地として将来、産業と宗教の中心地になるとの予測からナジャフを選んだ。ナジャフには毎年、五百万人の巡礼者が訪れて賑わう。
ナジャフはイラク最大の消費市場になる見込みから空港の建設やインフレ整備も進行中だ。ナジャフは聖地であるばかりでなく、ビジネスの拠点にもなる。
イラクは政府機構が未整備のため、イラク人の出国許可が中々出ない。そのため外国からのビジネスマンの訪問を待って、取引をしていた。最近シリアやヨルダンがイラク人の出入国許可を認めたため、両国経由で海外旅行ができるので往来は忙しくなる。
イラクは、ブラジルが生産する殆ど全ての製品を必要としている。イラク側も気心が知れているブラジル人との取引を希望する。現在イラク向けに輸出されている主な品物は、砂糖やトラクター、コンタクト・レンズ、ビスケット、チョコレート、ツナ、鶏肉、家具、耐火煉瓦、ふらん器、アンテナ、薬品など。
イラクには、金融危機の影響がなかった。そのため世界の投資家が押し寄せ、流通量には事欠かない。恐慌のために落ち込んだ輸出をカバーするため、対イラク輸出に力を入れるのが得策だと会頭が呼びかけている。