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イビウナでコチア青年撲殺=強盗に襲われた下山さん=地元日系社会に波紋呼ぶ

ニッケイ新聞 2009年3月24日付け

 サンパウロ州イビウナ市在住のコチア青年、下山由夫さん(67、岡山県出身、二次十四回)が十三日午後十時過ぎ、ピアイ区の自宅前で強盗に襲われ、殴打されて亡くなるという痛ましい事件がおき、地元日系社会に大きな波紋を呼んでいる。
 下山さんは、妻の和子さんが参加していたイビウナ文協のソフトバレーボール練習が終わるのを待って、車で自宅へ向かった。関係者に寄れば、自宅の娘から「今日は犬がやけに吠えてる。気をつけて帰ってきて」と電話があったという。
 自宅に到着し、車を降りた下山さんはいきなり頭を棒状のもので叩かれて倒れ、殴る蹴るの暴行を受けた。
 その間に、和子さんは車を抜け出して、自宅に入り、鍵をかけて立てこもろうとしたが蹴破られそうになり、先に自宅にいた娘が窓から脱出していたので、その後を追って外へ脱出した。自宅に無理やり侵入した賊は、和子さんらが脱出した方向へ窓からピストル三発を発射したが、すでに二人は逃げていた。
 釣りが趣味の下山さんは庭に舟を置き、中に水を張っていたが、賊は下山さんの頭をつかむとそこに顔を沈めて窒息させようとしたり、暴虐の限りを尽くしたようだ。警察が到着し、付近の畑で息も絶え絶えになっている下山さんを発見した時、あばら骨三本に足の骨まで折れられた状態だったという。
 救急車で市内の救急診療所に連れて行ったが手におえず、SBC病院に転送したが、治療の甲斐なく十七日に亡くなった。同日、葬儀が行われ、イビウナ市内墓地に葬られた。
 下山さんは一九六一年渡伯。地元文協の役員も務めたほか、コチア青年連絡協議会イビウナ支部代表として同二十五周年記念誌の討論会にも参加している。
 かつてはバタタ、現在は富有柿の生産をしている。これから収獲が最盛期を迎える時期で、妻と娘が協力して懸命に出荷しているという。
 下山さんと親しく付き合っていた地元関係者は、「強盗はあちこちに入っているが、殺されたのは、私が知っている限り初めて。ショックです」とうなだれている。