ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ラポウザ・セーラ・ド・ソール=最高裁が保護区画定=今後に火種を残し判決へ

ラポウザ・セーラ・ド・ソール=最高裁が保護区画定=今後に火種を残し判決へ

ニッケイ新聞 2009年3月20日付け

 最高裁は十八日、ロライマ州にある先住民保護区ラポウザ・セーラ・ド・ソール百七十四万ヘクタールの画定を決定と十九日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。判決はマルコ・A・メーロ判事の反対一票を除いて、同問題の最高裁最終結審をメンデス長官が宣言する。
 メーロ判事は、多額の補助金を供与するだけで生産のない先住民保護区の廃止を論証したが、他の判事から同意が得られず、七時間にわたる朗読は眠気を誘った。
 保護区の画定は、米生産者の立ち退きを待って行うが、面積の拡張は行わないことになった。政府や陸軍、連邦警察職員による保護区立ち入りは、先住民や先住民保護財団(Funai)の許可不要となった。
 先住民保護区がべネズエラやガイアナと国境を接するため、国家治安管理は政府が行い、管理能力のない先住民に任せない。同州の六・七二%を占める保護区の天然資源管理も政府が行う。
 先住民に許される資源採取は、狩猟と漁獲、シッコ・メンデス財団が許可する範囲の伐採のみとしている。
 メーロ判事が指摘するように、ルーラ大統領とバストス前法相が署名した保護区内の農地に関する所有認可条例は、保護区画定判決と矛盾する。米生産者は、ロライマ州政府から公式の土地権利書を供与されており、連邦令によって資産所有が認められている。
 問題は、まだある。米は州経済を潤し、マナウス市民の食卓に供される。最高裁判決は、今後へ紛争の火種をつくり、先住民と米生産者の確執に油を注ぎそうだ。
 メーロ判事が指摘するように、現地は無法地帯で保護区画定のような最高裁判決など通用しない。現実無視の法的措置は、無法者の衝突を煽るだけ。先住民には保護区の画定よりも医療に力をいれ、祈祷師の治療から守るのが先決という。